サステナビリティ基準委員会(SSBJ)は5日、企業がサステナビリティに関するリスクや機会を財務情報と一体で開示するための新たな指針として、3つのサステナビリティ開示基準を公表した。2024年3月に示した素案への意見を踏まえ、国際基準との整合性や国内企業の実務上の負担などを考慮した。気候変動への取り組みやガバナンス体制などの開示が一段と充実することで、投資家や取引先を含むステークホルダーに対する情報提供の水準を引き上げる狙いだ。これを受け、金融庁では2027年3月期以降、時価総額3兆円以上の大企業に対して、サステナビリティー関連情報の開示を義務付ける。70社程度が対象になる見通しで、翌年度以降、対象企業を拡大していく。

今回公表されたのは「サステナビリティ開示ユニバーサル基準(サステナビリティ開示基準の適用)」「サステナビリティ開示テーマ別基準第1号(一般開示基準)」「同第2号(気候関連開示基準)」の3つ。ユニバーサル基準では、開示対象となるリスク・機会の識別や「重要性(マテリアリティ)」判断の考え方など、サステナビリティ関連情報を財務報告と結び付けるための基本的な枠組みを示した。一般開示基準はガバナンスやリスク管理など、すべての企業に共通するコア項目を定め、各業種・領域で検討すべき具体的なテーマとの重複を防ぐ役割を担う。気候関連開示基準は温室効果ガス排出量やシナリオ分析を含めた気候変動対応に焦点を当てる内容となっている。

SSBJは、2021年の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の設立を受け、日本に適用されるサステナビリティ開示基準の開発および国際的なサステナビリティ開示基準の開発への貢献を目的として2022年7月に設立された。国内におけるサステナビリティ開示基準の開発にあたり、基準を適用した結果として開示される情報が国際的な比較可能性を大きく損なわせないものとなるようにするため、その基本的な方針として、ISSBのIFRSサステナビリティ開示基準との整合性を図ることを基礎とし、議論を重ねてきた。

【詳細】
https://www.ssb-j.jp/jp/ssbj_standards/2025-0305.html