『事業継続の問題・課題はPDCAでやっつけろ!』
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第19回(最終回):経営方針が変わってBCMが消滅寸前!?(適用事例13)
最近になってBCM(事業継続管理)担当のMさんは、しばしば浮かない顔をするようになりました。先ごろ行われた経営会議で、思わぬ言葉が社長の口から出たからです。それは経営方針が大幅に変わるという話です。景気回復にともない、より収益性の高い製品を開発するために新事業部門を立ち上げるというのです。そして、この流れの一環として当年度中に組織全体を新体制に移行するとのこと。
2018/08/02
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第18回:災害協定をリップサービスで終わらせないためには?(適用事例12)
中堅ビルマネジメントのA社は、同業組合の理事も務めています。ある時、地元新聞にA社の記事が取り上げられました。A社を代表とするビル管理組合が県と災害協定を締結したとの記事です。協定書を交わすA社社長と県の担当者の写真も鮮明に写っています。
2018/07/19
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第17回:雲をつかむようなBCPの見直しよ、さらば!(適用事例11)
Sさんは社内の危機管理全般を担当しています。災害や事故などが起これば、現場の責任者と共同でインシデント調査を行い、報告書を書き、再発防止策の策定に関わります。しかし担当はSさん一人だし、Sさんの所属部署はいつも多忙な総務なので、同僚に業務を手伝ってもらうのは至難の技です。
2018/07/05
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第16回:つぶやきは災いのもと!(適用事例10)
X社は、海外のある国から大型プロジェクトを受注しようとコンペに参加していましたが、残念ながら失敗に終わりました。しかしこれだけならば、たまにあることなので次回またがんばろうで済むのですが、今回ばかりは社内に不穏な空気が漂い始めています。
2018/06/21
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第15回:その対策、予算の都合で見合わせとします!(適用事例9)
角館カクオさんの会社は、BCPを策定してから7年が立ちます。東日本大震災が発生した2011年に社長の鶴の一声でBCP策定プロジェクトを立ち上げ、メンバー全員が明日は我が身と大地震の脅威を共有しつつ、目を血走らせてわずか3カ月で作り終えたものです。BCPが完成してからは、いわゆるBCMの運用指針にしたがって、定期的な見直しや更新などを行ってきましたし、一般的な防災レベルではありますが、教育や訓練も毎年欠かすことなく続けてきたのでした。
2018/06/07
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第14回:非常事態下で派遣スタッフをどう守る?(適用事例8)
「あれ、何かしら…?」。派遣社員の美香さんは、廊下の方でザワザワする声と小走りに駆け抜ける足音が気になりました。せっかくコーヒーとビスケットでつかの間の休息を楽しもうと思っていたのに。すると今度は室内の社員たちまでが、急にパソコン操作の手を止め、机の引き出しやロッカーから自分のバッグや上着を取り出してあわただしく部屋から出ていきます。
2018/05/24
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第13回:BCM業務の引継ぎはマイナーな問題だけど…(適用事例7)
人事異動は会社の宿命です。せっかく今の業務に慣れ親しんできたなあと思った矢先、「〇〇さん、あなた△△部門への異動が決まりました。まあがんばってください」と上司に言われる。こんな時、もしあなたがいまの業務や人間関係に満足していないなら新しい希望が見えてきたように思うかもしれませんが、多くの場合、異動を不安材料ととらえるでしょう。身に付けた知識も経験も、仲間も変わってしまうのですから。
2018/05/10
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第12回:防災教育ならぬ「BCP教育」なんてあるの!?(適用事例6)
総務のM君は防災担当です。BCP事務局という役割名も与えられており、BCP文書に何か書き換えの必要が生じたら、オリジナルのファイルを開いて訂正し、災害対策本部メンバーに配布するといったことも手掛けています。これらの業務を引き継いで足掛け2年目、覚えることは山ほどあります。
2018/04/19
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第11回:BCPを"賞味期限切れ"にしないために(適用事例5)
「 ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。淀みに浮かぶ うたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし」。平安末期から鎌倉時代にかけて生きた歌人で随筆家の鴨長明さんは、有名な「方丈記」の出だしでこのように書いています。
2018/04/05
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第10回:キーマンがいなかったらお手上げです!!(適用事例4)
総務課長を務めるAさんの会社では先ごろBCP(事業継続計画)を完成させたばかりです。基本的な要件はある程度幅広くカバーしました。緊急対応(初動対応)で最も大切な「避難計画」や「安否確認手順」「備蓄」「帰宅困難者対応」、そして火災対策や地震対策も、社内的には概ね合格点と言えるものでした。
2018/03/22
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第9回:調達困難のリスクをどう回避するか?(適用事例3)
こんな経験はありませんか? ある日、急ぎの重要書類を印刷しようとしたら、トナー切れのメッセージが出て印刷できなくなってしまった。あいにく今日は金曜日だから、今日トナーを注文しても届くのは月曜日以降だ。どうしよう…!
2018/03/08
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第8回:訓練がうまくいかない!をどうするか?(適用事例2)
以前、米国フロリダで行われた危機管理研修に参加した時のことです。先生が「みなさんの組織でいま問題となっていることは何でしょうか。隣同士で話し合ってみてください」と参加者に呼びかけました。“いま問題となっていること”とは、危機管理体制のことです。BCM(事業継続管理体制)と読みかえても左程間違いではないでしょう。
2018/02/22
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第7回:捨てるか生かすか、それが問題だ(適用事例1)
Tさんの会社では、2011年の東日本大震災以降、万が一に備えて非常用食料を備蓄するようになりました。顧客や取引先からは防災意識の高い企業として一目置かれているのですが、フタを開けてみればなかなか苦労することが多いのです。
2018/02/08
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第6回:Planの目標設定はスマートに決めよう
目標に向かってあれこれ一生懸命やってみたが、結果は意外と実り少ないものだった…。こんな経験はありませんか? 仕事でも学業でも、ばくぜんと目標を決めただけではすんなりとゴールにたどり着けないことも少なくありません。
2018/01/25
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第5回:<Why?>を繰り返すと根本原因が見えてくる
前回は、日常業務のなかからPDCAが適用されているいくつかのテーマをご紹介し、事業継続管理の中にもこうした日常業務と同じようなテーマが眠っているはずだから、それを意識してください、といったことを述べてまいりました。 さて、今回から実践編に入ります。日常業務と同じレベルの事業継続管理のテーマとはいかなるものなのか。どのようにしてPDCAを回すのか。それをストレートに語りたいところですが、実はその前にもう一つ決着をつけておかなければならないポイントがあります。これをクリアしないことには先へは進めません。なかなか核心部に迫ろうとしない著者にややヘキエキぎみの皆さん、もう少しご辛抱ください。
2018/01/11
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第4回:PDCAを適用できるシーンは枚挙にイトマがありません
■災害危機管理におけるPDCAの目的とは 前回は、「PDCAは何が何でもグルグル回さなければならないから重荷だ」という脅迫観念にとらわれている方に、実はそうでもないことを事例でご紹介しました。PDCAにも目標(=ゴール)があるわけで、その意味ではむやみに回し続ける必然性はないのです。
2017/12/21
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第3回:身近な事例でウォーミングアップしてみよう
身近な事例で、PDCAを考えてみましょう(画像:Photo AC)災害・危機管理といったお堅い話は抜きにして…PDCAについていろいろ調べて分かったこと。
2017/12/07
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第2回:PDCAはハムスターの回し車か?
PDCAをダメにする2つの誤解 前回は、BCP策定後の管理段階では、どうもうまくPDCAが回っていないらしいと述べました。そしてそれは、防災・減災対策の維持管理がおろそかに、社員の危機管理意識が希薄に、そして事業継続にまつわるさまざまな問題や課題が未解決のままになっているということであり、会社にとってゆゆしき問題なのだと力説しました。
2017/11/24
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第1回:カン違いか宿命か、うちの会社のPDCAが回らない!
「どうでしょう、BCPはその後、うまく回っておりますか?」私は以前BCPの策定をお手伝いしたことのある会社の総務課長さんにこう訊ねました。「うまく回っておりますか」とは、BCPの点検や改善、訓練、教育などを継続的にやっていますかという意味です。 「ええ、まあ」と総務課長。しかしそのご返事はなんとなく歯切れの悪いものでした。「訓練などはたまにやっていますけど、それ以外はどうもねえ…」。総務課長さんは電子タバコを口にしながら、少し苦い顔で話を続けます。
2017/11/02