2023/03/25
独自調査
ヘルメット努力義務化「知らない」は31.6%
リスク対策.comは、全国の会社員を対象に、今年4月1日から努力義務化される自転車のヘルメット着用に関するアンケート調査を実施した。その結果、ヘルメット着用が努力義務化されることを知っている人は68.4%、知らない人は31.6%で、法律の内容が十分に周知されていないことが明らかになった。また、今後ヘルメットを購入するかの問いに対しては、「現在持っておらず購入する予定もない」との回答が64.6%と過半数を占めた。調査は、2023年3月19日から21日にかけてインターネット上で行い20歳以上65歳以下の会社員で、日常的に自転車を利用している男女822人からの回答を得た。回答者の男女比は男性55.4%、女性44.5%で子供の有無については「いる」が47.2%、「いない」が52.8%だった。年齢層は20代、30代、40代、50代、60代の各年代とも20%前後だった。
(本調査は、兵庫県立大学教授の木村玲欧氏と関東学院大学准教授の大友章司氏の協力を得て実施しています)
■ヘルメット着用義務付けを知っているは68.4%
■情報源はテレビ・新聞
■「購入予する予定なし」は64.6%
■努力義務化を知っている人ほど購入の意向は高い
■「努力義務だが着用したくない」が「努力義務だから着用したい」を上回る
■性別や子どもの有無により差も
■買い物はヘルメット着用の必要性が理解されにくい
■勤務先から周知されていないが74.6%
■ヘルメット着用義務付けを知っているは68.4%
■情報源はテレビ・新聞
アンケートではまず、改正道路交通法の施行により、令和5年4月1日から自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されることを知っているかを質問。その結果、知っていると答えたのは68.4%、知らないは31.6%だった(グラフ1)。ヘルメット着用努力義務化の情報をどのように知ったかについては、「テレビや新聞から」が54.1%と突出して高く、「SNS・インターネット等から」(17.3%)が続いた(グラフ2)。
■「購入予する予定なし」は64.6%
ヘルメットの購入予定について聞いたところ、「持っておらず購入する予定がない」が64.6%で半数以上を占めた。「すでに持っている」は13.6%、「持っていないが購入する予定」は14.5%だった(グラフ3)。改正法の施行により、ヘルメットを新たに購入しようと考えている人は、「わからない」(7.3%)を加えても20%程度にとどまることが予想される結果となった。
■努力義務化を知っている人ほど購入の意向は高い
前問の「ヘルメット努力義務化の理解」と「ヘルメット購入の意向」との回答を比べると、努力義務化を「知らない」と回答した人ほど、ヘルメットを「持っておらず購入する予定もない」と回答した割合は高く、改正法の周知がヘルメット着用の定着に向け重要であることを裏付けた(グラフ4)。
本調査の監修にあたった兵庫県立大学教授の木村玲欧氏は「交通事故の件数や死亡者は長期的な視点で見れば減少傾向にあると言えるが、警察庁によれば、自転車乗用中の交通事故で亡くなられた方は約6割が頭部に致命傷を負っており、さらに自転車乗用中の交通事故においてヘルメットを着用していなかった方の致死率は、着用していた方に比べて約2.2倍高くなっている。法律による努力義務といった外発的な動機付けだけでは不十分であり、一定の定着が見込めるまでは、その着用効果を含めて利用者に広く継続的に呼び掛け続けることが重要である。髪型や使用シーンに応じたさまざまなヘルメットの開発なども期待される」と話している。
独自調査の他の記事
おすすめ記事
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/17
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方