2024/12/16
防災・危機管理ニュース

リスク・セキュリティコンサルティングサービスを提供する「コントロール・リスクス」(本社:英国)はこのほど、グローバルリスクの見通し「リスクマップ2025」を発表した。コントロール・リスクスに所属する30か国以上の専門家の知見・洞察を持ち寄って分析を行い、2025年における各国のビジネスリスク見通しを総合的に評価し世界地図に反映したもの。2025年に企業が特に注視が必要な5つのトップリスクも提示している。
2025年のトップリスクは、不確実な米国情勢のゆくえ。米国の世界的な影響力は弱まり、投資環境はますます複雑になり、米国の政治・経済的環境はさらに不確実性が高まると予測した。さらに、トランプ新政権は、2025年のグローバルビジネスにおける米国国内の政治リスクと外交政策リスクを高め、米国は経済的・地政学的な敵対国に対して、より直接的かつ攻撃的に対峙することになるとしている。このほかのリスクとしては、国家間のレッドライン(超えてはならない一線)に関連したリスク、増加する政治的暴力などを挙げている。同社は、2025年1月28日に、日本企業向けに、リスクマップ2025について各領域の専門家が解説するオンラインセミナーを開催する。
「リスクマップ2025」詳細はこちら:
https://www.controlrisks.com/jp/riskmap
以下は、トップリスクに関する同社リリース。
<2025年のトップリスク>
• 不確実な米国情勢のゆくえ(Uncertain States of America)
米国の世界的な影響力は弱まり、投資環境はますます複雑になっています。2025年における米国の政治・経済的環境はさらに不確実性が高まるでしょう。トランプ新政権は、2025年のグローバルビジネスにおける米国国内の政治リスクと外交政策リスクを高めるでしょう。トランプ大統領は、2期目を通じて世界秩序の再編を試み、米国は経済的・地政学的な敵対国に対して、より直接的かつ攻撃的に対峙することになるでしょう。
• 地政学的レッドライン(Red Line Geopolitics)
国際情勢が複雑化する中、事態が悪化するタイミングがますます予測しにくくなっています。企業は、地政学的なレッドラインを注視し、想定される事態悪化への対応策をあらかじめ備えておく必要があります。 2025年の地政学的環境では、国家間のレッドライン(超えてはならない一線)に関連したリスクが高まるでしょう。企業は、世界全体や各地域の情勢が急変することで生じる様々なリスクに備えなければなりません。
• グローバル規模の貿易戦争(Global Trade War)
中国の製造力、米国の通商政策、世界各国の産業政策により、2025年はグローバル規模の貿易戦争が激化するでしょう。 グローバル規模の貿易戦争は、さらに激化し新たな段階に入り、2025年のビジネス環境におけるトップリスクの一つとなります。国際貿易と投資において「国家安全保障」が最優先の指針となる一年になるでしょう。2025年には世界貿易が成長すると予想される一方で、地政学的な対立が金融システムやサプライチェーンの分断を引き起こし、技術選択を難しくしているため、グローバリゼーションは依然として脅威にさらされます。
• 増加する政治的暴力(Rising Political Violence)
2025年、世界中で政治的な暴力が増加することが懸念されます。企業は、より多様で予測困難な脅威に備える必要があります。 選挙キャンペーン中の候補者に対する脅迫や、政治家、反体制派、ジャーナリスト、活動家といった政敵の暗殺は、世界中で増加傾向にあります。企業の事業活動が、事業所や従業員に対する脅迫を引き起こす可能性があります。暴力により支配力を強めたり報復することを容認する傾向が強まっており、それが奨励される風潮さえあります。
• デジタルエコシステムにおける集中リスク(Digital Concentration Risk)
2025年も世界的な大規模システム障害に備える必要があります。高いレジリエンスを備えた企業が生き残り、そうでない企業は今後も繰り返し業務の停止などの影響を受けます。サイバーセキュリティ関連の脅威が増すなか、少数のテクノロジープラットフォームや特定のシステムにリスクが集中することは、2025年の最大のリスクとなるでしょう。2024年に発生したCrowdStrike社の世界規模のシステム障害は、推定52億USドルの損失をもたらしました。この一件は悪意のある攻撃によるものではなかったのですが、今後、意図的に悪意のある攻撃が行われれば、より壊滅的な影響を受ける可能性があります。
2025年は、引き続き企業にとって、地政学的な変動、経済競争の激化、治安の悪化、急速な技術進化など、不安定な要素の管理が求められる試練の年となり、これまで以上にアジリティ(俊敏性)レジリエンス(回復力)が求められるでしょう。急速に変化するリスク環境において、企業はレジリエンスとセキュリティを再考し、直接的なリスクだけでなく、連鎖的に引き起こされる影響にも注意を払う必要があります。
2025年1月28日には、日本企業向けに、リスクマップ2025について各領域の専門家が解説するオンラインセミナーを開催します。
セミナー詳細はこちら:
https://register.gotowebinar.com/register/6398159760707467103
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