広がるグリーンウォッシュと今後の規制
~環境情報開示に隠されたリスク~

ESGリスク勉強会 11月26日

株式会社ゼロック代表取締役 松井大輔氏

ESGリスク勉強会を11月26日に開催

うわべの環境主張に規制 EUグリーンクレイム指令

ESGリスク勉強会は11月26日、オンラインで開催。実態がともなわないうわべの環境活動、いわゆる「グリーンウォッシュ」について、ゼロック代表取締役の松井大輔氏が最近の動向と企業へのリスク、とるべき対策を解説した。

松井氏はグリーンウォッシュが起きやすくなっている背景について、環境に対する主張が価値になる時代であることを指摘。そのため誇張的な主張が発せられやすいとしたうえで「しかし何がグリーンウォッシュにあたるかの定義はない。アピールと実態が違うなど、定性的な研究はあるが、定量的に決まるものではない」と述べた。

ただしグリーンウォッシュの悪影響については、騙されたと認識した消費者の購買意欲が低下する、非財務情報のリスクが高まりグリーンボンドに対する投資家の信頼が低下するといった側面に言及。ゆえにグリーンウォッシュに対する企業への規制が高まっているとし、その一つとしてEUの「グリーンクレイム指令」の動きをあげた。

同指令は企業の環境主張に対し、科学的根拠の検証と開示を義務付け、製品・サービスのLCA(ライフサイクルアセスメント)を要求するもの。例えば『環境にやさしい石けんです』『水素自動車なので環境によいです』などの主張は、それだけでは「根拠なし」とみなされる可能性が高いという。

指令は2026年3月までに加盟国が国内法で批准し、9月から適用開始。「EU市場で製品の販売などを行う企業は、マーケティング戦略の見直しやサプライチェーン全体の環境情報開示要求などに迫られる可能性がある。情報を開示する媒体や表現方法などについて、グリーンウォッシュとみなされない対応が必要」とした。

PRO会員(ライトは除く)のアーカイブ視聴はこちら。2025年2月28日まで。