2024/11/08
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】共和党のトランプ前米大統領は5日の大統領選で、激戦州を制した上で、選挙人のみならず一般得票総数でも民主党のハリス副大統領を上回って圧勝するとみられている。共和党は既に議会上院を掌握し、開票が進む下院も制すれば、トランプ氏を阻む壁はほぼなくなる。2期目は「かつてない強力な権限」(同氏)を得ることになる。
◇起訴取り下げ
トランプ氏は6日、バイデン大統領とハリス氏から祝福の電話を受けた。バイデン氏は「円滑な政権移行」を約束。トランプ氏が退任を拒んだ2020年とは異なり、移行手続きは比較的スムーズに進みそうだ。
得票総数で共和党が民主党を上回るのは、04年のブッシュ(子)大統領以来20年ぶり。圧倒的勝利に、歴代大統領も「祝意を表したい」(オバマ氏)とメッセージを寄せた。
大統領選と並行し、トランプ氏は4件の刑事裁判に直面した。このうち20年大統領選の結果を覆そうとした事件と、機密文書の不正保管事件の2件を担当するスミス特別検察官は6日、司法省と協議を開始。米国では現職大統領を刑事訴追しない慣行があり、米メディアによると起訴取り下げが検討されている。
◇三権全てを「掌握」
当選すれば「初日だけ独裁者になる」と述べたトランプ氏。就任後は「史上最大の移民送還作戦」や教育政策の見直しなどの公約実現にまい進するとみられる。
共和党が上院の過半数を確保したことで、議会承認が必要な人事は進めやすくなった。また、仮に下院で弾劾訴追されても、上院の弾劾裁判で有罪となる可能性は低い。共和党内の「反トランプ派」も弱体化が進む。
1期目では議会審議を必要としない大統領令による政策実現を好んだが、連邦最高裁がその障壁となることがあった。しかしリベラル派判事の死去などに伴い、トランプ氏が保守派判事を任命したことで、最高裁の「右傾化」が進行。2期目でもブレーキ役を果たすかは微妙だ。
実際に最高裁は今年7月、在職中の「公的行為」に関する大統領の不起訴特権を認めるなど、トランプ氏に有利な判断を下した。司法、立法、行政の三権全てで、同氏が意のままに振る舞う環境が整った形だ。
〔写真説明〕米大統領選の勝利を宣言した後、踊るトランプ前大統領=6日、南部フロリダ州ウエストパームビーチ(ロイター時事)
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方