2024/09/19
防災・危機管理ニュース
上下水道施設の設計・施工や管理を手がける水道機工(東京都世田谷区、古川徹社長)はこのほど、断水した被災地へ迅速に水を供給する独自の緊急災害水支援チーム「EWAT(イーワット)」を設立した。創業100周年事業として取り組むプロジェクト。組織体制を明確化して自治体との連携を強化し、要請を受けてから2日程度で稼働できるチームを目指す。
同社はグループ会社を含め全国31カ所に拠点を持ち、さまざまな自治体の水道設備へ幅広く技術・ノウハウを提供することが可能。東日本大震災や熊本地震などでも地域とのつながりを生かした水支援活動を展開し、今年1月に発生した能登半島地震では小松市・輪島市・珠洲市に非常災害用の水供給装置を計約10台設置した。
装置は「マクセス・セイフティ」と銘打った同社の独自技術で、河川やため池などの水をろ過して使用。「飲用もできるが、飲み水は政府の支援で被災地に早く届く。不足するのは生活用水で、そちらが主な用途」と、EWATの総責任者で水処理事業本部の鷹栖茂幸本部長は話す。1時間で最大2トンの原水をろ過でき、連続1週間の使用が可能だ。
EWATでは、専用機材として「マクセス・セイフティ」を7台常備。ただ、発災後すぐ用いるには日頃のメンテナンスが欠かせず、現地で迅速な原水確保と水質検査ができるだけの初動体制も要る。そのため各拠点の機械担当や水質担当、予算担当などの専門人材をメンバーに任命し、役割と指揮・命令系統を明確化。要請から2日程度で装置を設置・稼働できるチームを目指す。
それでも、能登半島地震では早期に支援体制を整えるも、自治体から要請が来ない状態が続いた。「どこにどういう技術があるのか、受援のための情報を自治体が持っていないため」(鷹栖本部長)。実際、小松市での支援活動が新聞で報じられると、即座に輪島市と珠洲市から要請が来たという。
今後は、広報活動を通じてEWATの認知度を高めながら、継続的な技術開発と組織強化を推進。将来的にはチームの輪を業界全体に広げていきたい考えだ。「災害時の水供給不足を当社だけでカバーできるわけではない。EWATをきっかけに、同様の活動が業界全体に広がることを期待したい」(同)とする。
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