子どもがボタン電池を誤飲する事故が相次いでいるとして、国民生活センターが注意を呼び掛けている。体内で放電して腸を傷つける恐れがあり、海外では死亡事例もある。同センターは「短時間でも子どもの手が届く場所に置かないで」と管理の徹底を求める。
 同センターによると、2019年4月から今年5月までに報告された14歳以下のボタン電池の誤飲事故は72件。疑いを含めると120件。約半数が1歳児だった。手術など摘出処置が必要となった事故は33件あった。
 昨年12月には1歳男児が扇風機のリモコンのボタン電池を飲み込んだ。翌日、全身麻酔をして内視鏡手術で摘出した。胃に浅い穴が複数開き、血の塊ができていた。子どもに症状はなかったが、保護者が電池がないことに気付いた。
 ボタン電池の誤飲は胃や腸などの組織を溶かす恐れがある。同センターが行った食塩水に浸した鶏肉にボタン電池を載せる実験では、10分間で接触部分がへこみ、焦げたような跡がついた。付近は強いアルカリ性になっていた。
 ボタン電池のうち、直径2~3センチの平たい円形の電池は食道などに引っかかりやすく、電圧が3ボルトと高いため最も危険。直径1センチ前後のボタン電池は飲み込んでも排出される可能性があるが、子どもが鼻に入れ、鼻の中央の壁が溶けた事故があった。
 同センターは、電池のふたが簡単に開かないなど安全基準を満たした「STマーク」の付いた玩具を推奨。子どもの前では電池交換をせず、関心を持たせないことも大事だという。「短時間でひどい傷を負う危険性がある。誤飲の疑いがあればすぐに医療機関を受診してほしい」としている。 
〔写真説明〕大小のボタン電池(手前)とボタン電池を使うタイマーやライトを示す国民生活センターの職員=7月31日、東京都港区

(ニュース提供元:時事通信社)