2024/08/17
防災・危機管理ニュース
子どもがボタン電池を誤飲する事故が相次いでいるとして、国民生活センターが注意を呼び掛けている。体内で放電して腸を傷つける恐れがあり、海外では死亡事例もある。同センターは「短時間でも子どもの手が届く場所に置かないで」と管理の徹底を求める。
同センターによると、2019年4月から今年5月までに報告された14歳以下のボタン電池の誤飲事故は72件。疑いを含めると120件。約半数が1歳児だった。手術など摘出処置が必要となった事故は33件あった。
昨年12月には1歳男児が扇風機のリモコンのボタン電池を飲み込んだ。翌日、全身麻酔をして内視鏡手術で摘出した。胃に浅い穴が複数開き、血の塊ができていた。子どもに症状はなかったが、保護者が電池がないことに気付いた。
ボタン電池の誤飲は胃や腸などの組織を溶かす恐れがある。同センターが行った食塩水に浸した鶏肉にボタン電池を載せる実験では、10分間で接触部分がへこみ、焦げたような跡がついた。付近は強いアルカリ性になっていた。
ボタン電池のうち、直径2~3センチの平たい円形の電池は食道などに引っかかりやすく、電圧が3ボルトと高いため最も危険。直径1センチ前後のボタン電池は飲み込んでも排出される可能性があるが、子どもが鼻に入れ、鼻の中央の壁が溶けた事故があった。
同センターは、電池のふたが簡単に開かないなど安全基準を満たした「STマーク」の付いた玩具を推奨。子どもの前では電池交換をせず、関心を持たせないことも大事だという。「短時間でひどい傷を負う危険性がある。誤飲の疑いがあればすぐに医療機関を受診してほしい」としている。
〔写真説明〕大小のボタン電池(手前)とボタン電池を使うタイマーやライトを示す国民生活センターの職員=7月31日、東京都港区
(ニュース提供元:時事通信社)
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方