2024/05/04
防災・危機管理ニュース
大手銀行や地方銀行が、3~4月に普通預金の金利を相次いで引き上げた。日銀によるマイナス金利政策の解除を踏まえたもので、約17年ぶりの動きだ。貸し出しでも一部ネット系銀行が住宅ローンの変動型金利を上げており、じわりと「金利のある世界」が戻りつつある。
「ゲームチェンジだ」。3月に日銀が短期金利の誘導目標を「0~0.1%程度」のプラス圏に据えると、みずほフィナンシャルグループの木原正裕社長ら銀行界から歓迎の声が上がった。長年の超低金利環境が解消すれば、資金調達時の金利と貸出金利の差である「利ざや」で稼ぐ銀行本来の業務が復活する。
木原氏は「ビジネスの原資として預金を持つ重要性が一層増す」と強調。三菱UFJや三井住友、みずほなど大手行や地銀は足並みをそろえ、普通預金金利を従来の0.001%から0.02%に改定した。日銀によると、4月初めの時点で利率を上げた金融機関は7割強に上った。
日銀が今後も利上げをしていけば、金利やサービスの差別化で「(各行による預金の)獲得競争が活発化することは十分にあり得る」(全国銀行協会の福留朗裕会長=三井住友銀行頭取)と指摘される。
一方、家計や企業活動を圧迫する貸出金利の引き上げには様子見姿勢が強い。大半の銀行は、住宅ローンの変動金利や短期の企業向け融資の基になる短期プライムレート(最優遇貸出金利)を据え置いたままだ。
ただ、低金利の住宅ローンを売りにしてきた住信SBIネット銀行は短プラを5月から1.775%(従来1.675%)に引き上げた。イオン銀行や、市場金利に連動させている楽天銀行も5月の住宅ローン変動金利を上げるなど、改定の動きも出つつある。
変動金利型は新規の住宅ローンの8割を占める。金利上昇時の激変緩和の仕組みによって毎月の返済額急増が抑えられる場合も多いが、返済総額は膨らむため家計の負担は増える。日銀の追加利上げ時には多くの銀行が短プラを上げるとみられており、日銀の「次の一手」に注目が集まる。
(ニュース提供元:時事通信社)
- keyword
- 金利上昇
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
-
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
-
-
-
防災教育を劇的に変える5つのポイント教え方には法則がある!
緊急時に的確な判断と行動を可能にするため、不可欠なのが教育と研修だ。リスクマネジメントやBCMに関連する基本的な知識やスキル習得のために、一般的な授業形式からグループ討議、シミュレーション訓練など多種多様な方法が導入されている。しかし、本当に効果的な「学び」はどのように組み立てるべきなのか。教育工学を専門とする東北学院大学教授の稲垣忠氏に聞いた。
2025/04/10
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方