シンポジウムのリーフレット

仕事柄、危険といわれる国への出張が多い私は「自分がテロリストだったらこの場所をどう攻撃するか?」という視点で考えるクセがあります。その視点で佐賀県を見ると、テロリストの好物となる場所やイベントがたくさんあるのです。

「原発」があり「空港」「新幹線」「港」「アリーナ」という人が集まる場所があり、バルーンフェスタや陶器市やおくんちなどの数十万人が集まるイベントがあり、大都市福岡へのアクセスがよく、海外からのクルーズ船が寄港し、隣の国に近く、来年は国民スポーツ大会(国スポ)が佐賀県で開催されます。国体から名称が変わり、新しい大会としての最初の開催地が佐賀県なのです。

来年10月5日は国スポの開会式、その1年前である今年10月5日、専門家の方々を唐津に招き、『SAGA2024に向けたセキュリティ意識と知識の向上』というタイトルでセキュリティシンポジウムを開催しました。

シンポジウム開催準備

セミナーや講演会に講師として呼ばれることはありますが、自分が企画して開催するセキュリティイベントは初めてでした。2年前に唐津へ移住した新参者の私、まず何からやるべきか…。動き始めてから、一番大変だったこと、それは関係各所へのシンポジウム説明と集客でした。

何か起きた時にセキュリティを担うことになる佐賀県庁、唐津市役所、警察署、海保、消防等へはチラシを持って説明に伺いましたが、セキュリティに対する意識が組織ごとにこれほど異なるということを思い知らされました。「セキュリティは常に考えておかないといけませんよね」という組織から、「唐津でテロなんて起きないですよ」という組織までさまざま。こうした意識の違いが、多機関連携を難しくしているひとつの要因だろうと感じました。

以下、私が説明に回った時、熱く語った内容です。

日本でも海外でも爆弾テロや犯罪に一般の人々が巻き込まれています。「セキュリティ対策は警察の仕事だよね」ではなく、遭遇したら自分や大切な人がケガをし、もしかしたら死んでしまうかもしれません。

その場にいる誰もがセキュリティの当事者(イメージ:写真AC)

その場にいる誰もがセキュリティ対策の当事者であり、自分たちがこの場所を守るという意識を高めてもらい、テロに巻き込まれないために、またもし巻き込まれても生き残る可能性を高めるための知識を持ってもらいたいのです。だからこそ今回のシンポジウムは、国スポ関係者や「テロ対策なんて考えたことない」「なんか難しそう」という一般の人にも聞いてほしいと考えています。

当初、一般の方からの申し込みはほとんどありませんでした。小さく勉強会を開催したり、講演をさせていただいたり、地元の新聞やケーブルテレビに取り上げてもらったりして少しずつシンポジウムのことが広がり、申し込みが増えてきたのは、シンポジウムまであと2週間を切ってからでした。

いろいろなところでたくさんの方々に説明に回った結果、真剣にテロ対策を考えたいという人々が集合し始めました。また講師陣はその分野における「レアキャラ」を揃えたために、結果、かなりマニアックなシンポジウムになりました。