今回は、保育に携わる皆様はもちろん、お子さんのいらっしゃるご家族にもお知らせしたい「遊びから学ぶ安全・防災」につながる体験ができるスポット「土佐山アカデミー」をご紹介したいと思います。今回の執筆にあたり、現地での研修でお世話になったNPO法人土佐山アカデミー事務局長の吉冨慎作氏にもお話を伺い参考にさせていただきました。
土佐山の環境
高知県高知市に位置する土佐山地域は人口約900人で、土地の94%が森林の鏡川源流域です。高知駅から車で30分という立地ですが、傾斜する山道に入ると、あっという間に別世界! 澄んだ空気に包まれ、全身が癒されていきます。
森林と竹藪に囲まれた急傾斜をさらに進むと、棚田や柚子の木があり、奥深い山の中に自然と共に生きる人々の生活がここにあることを実感します。
私が訪れた日は雨が降っていて、霧が周りの山々を覆っていました。手を伸ばすと霧=雲を掴めそうな空間に神々しさを感じます。普段、都会の真ん中で働く私には、贅沢すぎるほどの心地よさで、それを文章では表しきれないのが残念です。この地区にある「とさやま保育園」の園庭は広々としていて、門から園舎まで「よーいドン」と一斉に走って毎日運動会ができそうです。こんなに素晴らしい環境の中ですが、土佐山地域にはたくさんの課題を抱えています。
土佐山の問題
高知県が行った『令和3年度高知県集落調査』で「困っていること」について住民に尋ねた結果、68.8%の人が「人口減少」と回答しています。また、集落の活性化を進めるには、「集落内の若者の力」(35.5%)、「移住者など地域外からの人材の確保」(21.4%)が必要という結果には、集落に人を増やしたい・人が増えれば活性化につながる、という住民の想いが反映しています。
土佐山ではかつて食用や生活用具のために育てられた竹が、人口が減少して放置されることで、竹林が拡大化しています。成長の早い竹は周囲の森の光を遮り、木々を枯らしてしまいます。木は根を深くはるため、雨が降っても土をしっかりと支えますが、竹の根は横に広がり、深さは30cmほどしかありません。そのため、雨が降ると竹林ごと地面が崩落するリスクがあり、土砂災害が懸念されています。通常の防災コラムならここで終わるか、行政に対策を訴えるのですが、今回はちょっといつもと違うワクワクする楽しいお話になります。
土佐山の課題を資源と捉えるプラスの発想
いままで述べた土佐山の状況をまとめてみると以下の通りになります。
土佐山三大マイナス要素
・拡大しすぎて環境を悪くしている竹林
・効率の悪い棚田しかできない急傾斜
・高齢化・過疎化の進行による人材不足
これを見て「大変だ・仕方がない・どこも同じ….」など多くの方がマイナスイメージを持たれのではないでしょうか。
しかし、土佐山アカデミーではマイナス要素と思われる事柄を、資源として生かしたイベントを開催しています。
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