企業と従業員を守るための知識と
ケーススタディー【月刊BCPリーダーズ】12月号

 

帰宅困難者対策の第一義は社会貢献です。地震発生後、一斉に人が移動することで拡大する被害を社会全体でいかに抑えるか。しかし、家族を心配して帰りたいと思う人の心を規制で縛ることは難しく、ゆえに被災してもその場に留まれる環境の整備、どこにいても家族の安否が分かる環境の整備が図られてきました。

 

いま、交通機関の耐震化やデジタル技術の進展を背景に、帰宅困難者対策が変わろうとしています。一斉帰宅抑制の原則は維持しつつ、きめ細かな情報提供と移動制御を行い、将来的には状況に応じた柔軟な帰宅対応も可能にする方向です。そしてそれは同時に、企業の裁量の幅が広がることを意味します。

帰宅困難者対策は企業の責務ですが、従業員や顧客、株主との権利義務関係も当然無視できません。自社に照らした社会貢献のかたちをそれぞれがどう描くか――。これからの帰宅困難者対策のポイントを専門家のQ&Aで解説するとともに、モデル企業の取り組み事例を紹介します。