地域住民850人参加の津波避難訓練

2013年12月に開催した南海トラフ地震における津波を想定した避難訓練では、地区内指定建物への避難などに850人が参加した。「JR新長田駅の高架より北へ」を合言葉に、小学生や、要援護者も積極的に避難にトライアルした。

真陽地区防災福祉コミュニティ代表の中谷紹公氏

真陽地区防災福祉コミュニティ代表の中谷紹公氏は「真陽地区は、消防署をはじめホームセンターなどの地元企業や地元病院が多大な協力をしてくれて大変ありがたい」と話す。

訓練は、トランジスタメガホン(トラメガ)で避難を呼びかけることから始まった。真陽地区のハザードマップによると、震度4以上の地震が発生した場合、4mの津波が80分から90分以内に襲う可能性がある。真陽地区では、単に内陸側へ水平避難するのではなく、津波が来る前の60分間は近隣の消火や救助を行う「60分ルール」を作っている。訓練では、その60分の時間のカウントアップをどのように住民に伝えるかが、課題の1つだった。当初は10台のトラメガを各自治会長に配布しトラメガ隊を結成。それぞれに「地震発生から10分が経過しました。みなさん逃げてください」などの呼びかけをさせた。

しかし、訓練を行った結果、呼びかけの難しさも浮き彫りになったという。トラメガは指向性が高いため、持つ人が走り回ってしまうと周りには聞こえづらい。ゆっくり歩きながら話さないといけないが、それでは地区をくまなく回ることはできないので、その後20台に増やし、2015年1月にはさらに20台増やした。そのほかに数字が聞き取りにくいことも分かった。「○10分」と聞こえてしまい、30分なのか40分なのか分からない場合もあった。家の中にいると聞き取りにくいことも分かったため、地震が発生して強く長く揺れたら、まず脱出経路を作る意味でも窓を開けることをルール化した方がいいのでは、というアイデアも出ているという。

防災訓練の様子(写真提供:長田区消防署)
防災の取り組みを訴える(写真提供:長田区消防署)