東日本大震災から3年が経過した。被災地では、復興に向け今なお多くの課題が山積している。高台移転、防潮堤の建設やかさ上げ、盛土工事…。津波対策をめぐる議論ばかりが表面化しているようにも見えるが、問題は、元々少子高齢化の波が押し寄せていた沿岸部の集落を、100年先まで見据えていかに再建していくのか、住民が夢を持ち続けられる持続可能な街づくりをいかに進めていくかだ。被災地に行けば、そこでの時間の流れは、外から見ているよりはるかにゆっくりであることに気付く。既に震災の体験を昔の思い出のことのように話す非被災地の人々に比べ、被災地では今なお震災を昨日のことのように覚え、その傷から立ち直れずに苦しんでいる。理想からすれば、住民の合意形成をとった上で、復興への道を決めるべきだろうが、1年、2年という短期間で、しかも時計が止まったままの被災地では、それを求めるのはあまりに酷だ。交付金を早期に使いきるために国や県から急かされるように住民置き去りの街づくりが進められる現状も、ある意味仕方がないのかもしれない。

被災してから考えるのでは遅い。これが東日本大震災の教訓でもある。

首都直下地震、トラフの巨大地震を目前に控えた今、南海新たなる復興の手法を講じておく必要がある。被災前から復興を考えておく「事前復興」について考えてみたい。

INTERVIEW
 住居だけの高台移転では持続しない
 街全体のレジリエント
 京都大学防災研究所教授 牧紀男氏

SPEECH
 21世紀型の新たな価値ある復興を
 成熟した日本の諸課題を産業創出に
 工学博士、プラチナ構想ネットワーク会長、三菱総合研究所理事長、元東京大学総長(第28代)

 小宮山宏氏