2016/08/21
誌面情報 vol50
ドローン技術
東京五輪が開催される2020年に期待されるのがドローンの活躍だ。最近ではドローンの不正利用を問題視する声も多いが、高性能のカメラを搭載でき操作性・安全性の技術開発も進むため、今後、利用分野が急増することは確実だ。競技や選手の撮影だけではなく、防犯対策として競技場内外で様々な活用方法も想定されている。NECは映像撮影の用途に限らず、多数のドローンの飛行を管理するシステムの開発も視野に入れている。NECは、航空管制システムをはじめ、宇宙衛星分野や電波監視など数多くの社会インフラシステムの開発運用・実績があり、そのノウハウを生かしてドローン管制の検討を進めている。
ネットワーク負荷を制御
近年、通信ネットワークの技術として注目されているSoftware-Defined Networking(SDN)NECがネットはワーク製品の1つとして提供する技術でもある。これまでのネットワークとの違いは、通信機器に触らずとも、ソフトウエアによってネットワークを一元的に制御できるようになった点だ。

一般的なネットワーク環境では、サーバーやルーターなど通信機器がネットワークへのデータ通信量などをコントロールしている。設定の変更には通信機器1台ずつの調整が必要だった。しかし、SDNの登場により、通信機器に触らずともネットワーク環境がコントロールできるようになった。この技術を使えば、例えば、災害時に急増する通信量に対応するため、動画や画像のやりとりを制限し音声やメールなどを優先的に送受信できるようになる。また、特定のサーバーなどを狙ったサイバー攻撃などに対しても、検知すると外部のネットワークと切り離しダメージを最小限に抑えるようなこともできるという。
「公共の通信全体を管理することは、通信業者との調整も必要になり、短期間での実現は難しいかもしれない。しかし、例えば、特定の施設内だけなら容易に実現できる」(鈴木氏)。
これらパブリックセーフティとネットワーク製品を中心に、NECでは2020年までに累積で2000億円の経済効果をねらう。「より安全で安心な東京オリンピック・パラリンピックになるよう高い技術力でサポートしたい」と鈴木氏は抱負を語る。
(了)
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