2021/02/05
独自調査
施設の代替拠点確保やエレベーター対策に課題

リスク対策.comは、地震災害時の自社の被害状況や対応状況について具体的にイメージをしてもらいながらアンケートに回答してもらう「シミュレーション型アンケート」を実施した。地震発生時に自社がどのような状況に陥る可能性があるのか、どのような対応が求められるかを考えてもらうとともに、防災やBCPの現時点における全体的なレベルを把握することが目的。1月13~21日までの1週間、リスク対策.comのメールマガジン購読者から回答を募り、572件の有効回答を得た。
なお、アンケートは兵庫県立大学教授の木村玲欧氏(防災心理学、危機管理学)
との共同事業で実施し、木村氏にはアンケートの監修をしていただいた。また本記事とは別に、各設問をシリーズで解説していく特集「アンケート結果から見直す防災とBCP」において、各回で、木村氏のコメントを載せていく予定である。
特集:アンケート結果から見なおす防災とBCP
震度6強の大地震 あなたの会社の備えと対応は?
アンケートは『1月〇日(平日)の夕方、震度6強を観測する大規模な地震が発生した』と想定してスタート。災害発災から2日目まで合計28のシナリオに対し、回答組織が現時点でどのような備えをしているか、どのような対応をとれるかについて尋ねた。
回答方法は、リッカート方式により1(最も低い)~5(最も高い)までの5段階の中から自社に最も当てはまるレベルを選んでもらった。得た回答を1なら1点、5なら5点といった具合に加重評価して点数に置き換え、それぞれの平均点を求めた。
その結果、点数が最も低かったのは、本社施設が被災した場合の代替拠点の確保で平均点は2.44、次いで基本的な防災対策としてエレベーターの閉じ込め対策が2.46、重要業務についての代替リソース(経営資源)の確保が2.63などとなった。
一方、最も点数が高かったのは安否確認で平均点は3.97。「その日のうちにおおむね全ての従業員の安否が確認できると思うか」との問いに多数の回答者がレベル4、5の「強く思う」を選択した。
なお、回答者の属性は、従業員101~500人、1001~5000人の規模の社員が最も多く、所在地は東京が約半数を占めた。業種は製造業が29%と最も高かった。BCPについては策定済が58%、策定中が18%で全体の8割近くを占めた。
次ページ以降、全ての質問と回答について解説する。
独自調査の他の記事
おすすめ記事
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
-
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
-
-
-
防災教育を劇的に変える5つのポイント教え方には法則がある!
緊急時に的確な判断と行動を可能にするため、不可欠なのが教育と研修だ。リスクマネジメントやBCMに関連する基本的な知識やスキル習得のために、一般的な授業形式からグループ討議、シミュレーション訓練など多種多様な方法が導入されている。しかし、本当に効果的な「学び」はどのように組み立てるべきなのか。教育工学を専門とする東北学院大学教授の稲垣忠氏に聞いた。
2025/04/10
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方