2018/01/17
阪神・淡路大震災から23年
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神戸市にある「人と防災未来センター」。阪神・淡路大震災の記憶をつなぐための展示や資料収集・保存のほか、災害対策人材の育成も行っており、震災の記憶や教訓を引き継ぎ、さらには役立てる体制となっている。今春には南海トラフ地震の際に発生が予想される津波の体感装置を設置する予定だ。
同施設は2002年に開設。震災のあった1995年から資料が収集され1999年に阪神・淡路大震災記念協会に同施設開設のための検討委員会を設置。工場跡地だった周辺の再開発と合わせて建設された。現在は西館と東館それぞれに展示スペースがあるほか、閲覧も可能な資料室、さらには研究施設も備えている。研究分野は災害対策行政対応や情報対応、救命・救急対応、ボランティア対応などハード・ソフトと幅広い。大きな災害が起こった際は人材を派遣し、主に被災地の行政支援を行っている。
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展示は震災時の揺れや火災の様子を大型映像と音響でリアルに再現した「1・17シアター」や、ジオラマ模型を用いた「震災直後のまち」、写真や地震の大きさを物語る破壊されたもの、地震発生直後からの動きをまとめた年表などがある。また、震災体験の証言をビデオで視聴できるほか、建物の耐震や免震構造、液状化現象などを学ぶ防災・減災ワークショップも行われている。
年間約50万人が訪れる同センター。1月には神戸市の学校の社会科見学が多いほか、修学旅行での利用も多いという。特に東日本大震災のあった2011年は中部地方の学校が西日本のコースを多く選択し、さらに災害を知る目的から訪問が増えたという。また近年は外国人の訪問も多く、団体では近年は中国や韓国を抑えベトナムが多い。個人では姫路城や神戸牛レストランとセットで回る観光客、隣接するJICA(国際協力機構)関西の研修員も多いという。
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南海トラフ地震に関する展示も実施。また、西館の外壁には高知県黒潮町で予想されている津波の高さ最大34.4mの標示がされている。今春には南海トラフ地震で起こる津波の疑似体感装置を設ける計画。5人程度で同時に体験可能で、映像のほか、実際に津波で足にかかる負荷を体感する。日本では津波の体感装置は少なく、複数人で同時に利用可能なものは初めてという。
入館料は大人600円、大学生450円、小・中・高校生は無料。また震災が起こった日である毎月17日は全員無料となる。
■「人と防災未来センター」ホームページ
http://www.dri.ne.jp/
(了)
リスク対策.com:斯波 祐介
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