台風や集中豪雨などの際にしばしば耳にするのが「氾濫危険水位」です。例えばNHKニュースの公式Twitterでは2020年7月6日、「岐阜 木曽川 氾濫危険水位を超える」という速報を流しました。
しかし、「氾濫危険水位」という言葉だけでは、危険が間近に迫っている情報か、それとももう少し様子を見てよい情報なのか分かりにくいかもしれません。今回の記事では、最近の大雨で「氾濫危険水位」を超えた河川のうち、どの程度の割合で実際に氾濫が発生したのかという点と、氾濫危険水位に関する情報の使い方の2点についてまとめていきます。
氾濫危険水位はどの程度危険な水位か?
氾濫危険水位を超えた例のうち、少なくないケースで実際に氾濫が発生していることが災害の分析結果から分かりました。次の図は、ここ最近の大規模な水害(平成30年7月豪雨、令和元年東日本台風、令和2年7月豪雨)で氾濫危険水位を超えた件数と実際に氾濫が発生した件数を示したものです。
図の中にグラフが三つありますが、それぞれの左側は氾濫危険水位を超えた河川の数、右側は氾濫が発生した河川の数です。氾濫危険水位を超えたという情報が発表された河川(右側の青色と緑色の河川)のうち、氾濫が実際に発生したケースの割合を分かりやすくするために、筆者の方で赤色の線を左のグラフと右のグラフの間に加え、その割合をパーセントで表示しています。
上の資料によると、氾濫危険水位を超えた河川で実際に氾濫が発生した割合は、令和2年7月豪雨では約30%(図左上)、令和元年東日本台風では約56%(図右下)、平成30年7月豪雨では約35%(図左下)でした。
こうした数字を見ると、氾濫危険水位を超えたという情報は氾濫発生の手がかりとしてかなり確度の高い情報として受け止めていいものだと判断ができます。氾濫危険水位を超えても結果的に何も起こらなかったことはもちろんありますが、氾濫危険水位を超えることが見込まれたり、その水位に到達したりした場合には、悪いケースを考えて手を打っておいた方がより安全でしょう。氾濫危険水位は川が危ないサインです。
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