2013/09/25
誌面情報 vol39
国内最大級5万KVAの非常用電源設備
平常時の電力供給は、東京電力から2系統で受電している。仮に広域での停電が起きたとしても、同時に電力供給が途絶する可能性は極めて低い。
非常用電源設備としては、5000KVAの自家発電機が10基設置可能。重油を燃料とし約60万ℓを常備している。5万KVAの非常用電源設備は国内最大規模という。更に停電発生時には、データセンター全体の電力を一瞬たりとも止めないよう無停電電源装置「UPS」が稼働。UPSが稼働している間に、40秒で自家発電が電源供給約できる体制が築かれている。3日間の自立運転が可能。水冷空調用の水も3日分を確保している。非常用電源対策は、データセンターの生命線とも言えるサーバー冷却用の空調系統の継続稼働に関しても熟慮されている。
コンピュータ室と空調設備を2階層に分離した独自の建築・空調システム
本データセンターでは、斬新な建築方式と空調システムからなる「ダブルデッキシステム」が開発され、特許出願もされている。
東京第一データセンターには、コンピュータを格納するラックが約2500収容できる。ラックには縦方向に1約3.3㎝の空間に46階層46台のサーバーが入り、さらにこのラックを束ねたものが、フロアーごとに並列している。
通常のデータセンターでは、ラックの下部に40~50㎝程度の電気配線スペースが設けられる形だが、同センターでは、この電気配線スペースを思い切って分離独立する2段構成とした。上階がサーバーラックを置くコンピュータ室で、下階が電気配線や空調設備などを備える設備室。共に軒高は4m。サーバーは下階から冷却する。電気設備や空調のメンテナンスは設備階だけで行える。専門スタッフは設備室にのみの出入りのため、セキュリティー対策の向上とともに、不慮のアクシデントも少なくなる。
昨今のコンピュータの処理能力の向上は著しく、それによる発熱対策がデータセンターの大きなテーマとなっている。こうした事態を受け、旧来のデータセンターでは、1ラック当たり4kWの直接冷却しか行っておらず、ラックの3分の2が無駄になっていたりするという。これに対し、同センターでは、通常サーバーに対しては8~12kW、高品質サーバーに対しては最大30kWの直接冷却が行える。
斬新な空調設備の採用に際しては、節電(エコ)にも工夫を凝らした。取り組み内容は、①空調効率を高めるインバータ方式、②冬季の冷却水熱交換システム(フリークーリング)③、高温度(既存センターより高い14℃)冷却水使用―の3種類。
ネットワークと人の維持も大切
通信回線は、異なる通信事業者と回線契約できるマルチキャリア対応をはじめ、通信回線の屋内への引込口も複数準備、更に引込口からコンピュータルームへの配管設備も複数系統を用意し、断線リスク対策も行っている。
データセンターの性能維持という観点では、現場スタッフの質の保持にも気を使っている。顧客となる外資系企業では、キャリアアップによる転職が当たり前のため、データセンターの質の低下を招きかねない。このため同社では、現場スタッフの雇用の安定維持にも配慮しそれを強味にしようとしている。
おすすめ記事
-
大阪・関西万博 多難なスタート会場外のリスクにも注視
4月13日、大阪・関西万博が開幕した。約14万1000人が訪れた初日は、通信障害により入場チケットであるQRコード表示に手間取り、入場のために長蛇の列が続いた。インドなど5カ国のパビリオンは工事の遅れで未完成のまま。雨にも見舞われる、多難なスタートとなった。東京オリンピックに続くこの大規模イベントは、開催期間が半年間にもおよぶ。大阪・関西万博のリスクについて、テロ対策や危機管理が専門の板橋功氏に聞いた。
2025/04/15
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/04/15
-
BCMSで社会的供給責任を果たせる体制づくり能登半島地震を機に見直し図り新規訓練を導入
日本精工(東京都品川区、市井明俊代表執行役社長・CEO)は、2024年元日に発生した能登半島地震で、直接的な被害を受けたわけではない。しかし、増加した製品ニーズに応え、社会的供給責任を果たした。また、被害がなくとも明らかになった課題を直視し、対策を進めている。
2025/04/15
-
-
生コン・アスファルト工場の早期再稼働を支援
能登半島地震では、初動や支援における道路の重要性が再認識されました。寸断箇所の啓開にあたる建設業者の尽力はもちろんですが、その後の応急復旧には補修資材が欠かせません。大手プラントメーカーの日工は2025年度、取引先の生コン・アスファルト工場が資材供給を継続するための支援強化に乗り出します。
2025/04/14
-
新任担当者でもすぐに対応できる「アクション・カード」の作り方
4月は人事異動が多く、新たにBCPや防災を担当する人が増える時期である。いざというときの初動を、新任担当者であっても、少しでも早く、そして正確に進められるようにするために、有効なツールとして注目されているのが「アクション・カード」だ。アクション・カードは、災害や緊急事態が発生した際に「誰が・何を・どの順番で行うか」を一覧化した小さなカード形式のツールで、近年では医療機関や行政、企業など幅広い組織で採用されている。
2025/04/12
-
-
-
防災教育を劇的に変える5つのポイント教え方には法則がある!
緊急時に的確な判断と行動を可能にするため、不可欠なのが教育と研修だ。リスクマネジメントやBCMに関連する基本的な知識やスキル習得のために、一般的な授業形式からグループ討議、シミュレーション訓練など多種多様な方法が導入されている。しかし、本当に効果的な「学び」はどのように組み立てるべきなのか。教育工学を専門とする東北学院大学教授の稲垣忠氏に聞いた。
2025/04/10
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方