2020/06/11
危機管理担当者が最低限知っておきたい気象の知識
方法2:気象庁ホームページの「今後の雨」を見る
次にご紹介する方法は、これから先15時間というやや限られた時間軸の中でどこが「多いところ」に該当しそうかを判断するやり方です。ここでは気象庁の「今後の雨」という情報が利用できます。
▼今後の雨
https://www.jma.go.jp/jp/kaikotan/index.html
まずは「今後の雨」をクリックして開いてみてください。地図の上の部分に下の図のような時間の軸が出てきます。薄く青色に塗られた部分がこれまでの経過を示す過去の部分、青と黄色の境目が現在の時間(最新の情報が発表された時間)、薄い黄色が予測の時間帯で、それぞれ1時間毎の降水量を示します。

予測の時間帯の方を1時間ごとにクリックするか、再生のマークを押してコマ送り機能を使い、降水量の移り変わりを時間ごとに見ていきましょう。令和元年台風10号の際に出されていた予測情報が次のものです(図4をクリックするとコマ送り動画が再生されます)。色が示す1時間雨量は凡例に書かれています。特に注目していただきたいのは黄色(1時間に20〜30ミリ)、オレンジ色(1時間に30〜50ミリ)、赤色(1時間に50〜80ミリ)、紫色(1時間に80ミリ以上)の部分です。こうした色が継続的にかかり続ければ総雨量がまとまっていきます。

上の例では、三重県、和歌山県、奈良県、徳島県、高知県などの一部で黄色やオレンジなどの表示が何時間も続きます。そうした場所では青色系の表示が続く場所よりも雨量が格段に多くなります。このように、1時間当たりの雨量が多い状態が長時間継続する場所に着目していけば、自分の関係する場所が「多いところ」かどうかが分かるというわけです。
「多いところ」という情報に接した時のアクション
気象情報では頻繁に「多いところ」というフレーズが出てきます。そうした情報に接した時には今回紹介したような方法で影響を受ける場所を調べてみてください。図を見て調べる方法は、「西日本で大雨の見込み」「東日本で大雨の見込み」という非常に大雑把な情報に接したときにも応用可能です。
なお、図の情報は非常に便利ですが、15時間先までの雨量予測であれ72時間先までの雨量予測であれ、予測はあくまで予測です。時間の経過とともに予測される雨量や大雨が降るとされる場所などが大きく変わることもあります。このため、気象庁の「今後の雨」などを使って随時この先の降り方について確認をしていくとよいでしょう。
また、別の記事(https://www.risktaisaku.com/articles/-/23999?page=2)で以前まとめましたが、図の情報を見て最も「多いところ」に該当しなかったから「安全」というわけではありません。その地域にとって多過ぎる雨量となれば、災害の可能性が高まります。影響を受けそうな雨量になるかという視点から図の中の予測を注意深く見ていってください。
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