■雇用対策でBCP策定支援<東京都・茨城県>
ここ数年増えてきているのが、国の緊急雇用対策事業の補助金を活用した支援策。自治体が民間事業者(コンサルティング会社)に事業委託し、そのコンサルティング会社が一定期間、新規雇用者を確保しBCP指導者として育成する。コンサルティング会社は、教育した指導者と共に中小企業に対してBCP策定を支援することで、BCPの普及と雇用対策を同時に達成させる一挙両得をねらったもの。鳥取県を皮切りに島根、東京、茨城などが同事業を採用している。 

東京都では、平成22年度からBCP策定支援事業を開始しており、これまでに100社を超える中小企業が実際にBCPを策定した。初年度は35社、23年度は75社・団体が同事業に参加。24年度も現在75社・団体が参加しBCPを策定している。参加費は無料だが、トップ経営者が参画することや、経営者、事務局、現場推進メンバーの組織全体で取り組むことが条件となっている。具体的な支援方法は、初回が集合研修で、残る4回が個別訪問によるコンサルティング。訪問コンサルティングは初回から3回で、BIA(重要業務分析)やRA(リスクアセスメント)、BC戦略の決定までを行い、4回目は演習を行う。演習後には課題を抽出し、BCP文書を改善。さらに、各社がその後も継続的にBCPを維持・向上していけるよう、年間の事業計画の中に、マネジメントレビューや、内部監査、演習などを落とし込むことまでを支援する(22年度、23年度実績より)。 

茨城県では、東日本大震災の教訓を踏まえ、県内中小企業向けのBCP策定支援事業に乗り出した。23年度は16社が同業に参加。今年度は40社が参加し、BCPを策定している。支援方法は1日で合同研修を集中的に行い、その後2カ月ほどかけて電話やメール、訪問などBCP策定を支援していく。最後には希望する企業に対して訓練支援まで行う。

■様式を策定<大分県・新潟県>
大分県では、県の単独事業として、BCPの策定支援を実施。23年度にモデル事業として業種別に5社を選定し、コンサルティング会社に委託してBCPの策定支援を行い、その5社のBCPの内容(社名は非公開)をPDFで公開するとともに、業種別にBCP策定のポイントを紹介している。さらに、各企業がこれを参考にBCP策定に取り組めるよう、BCPの中で使われているテンプレート類をすべてダウンロードできるようにした。今後は、県内の商工団体と連携し、同テンプレートを使ってBCPを策定してもらうよう呼びかけていくという。 

新潟県では、県と県内企業、商工会議所、NPO法人らが「新潟県企業のBCPを作成する研究会」を立ち上げ、今年1月に製造業向けの見本となるBCP様式を公開した。今後も業種を広げたり、役立つ様式などを公開していきたいとしている。 

中小企業庁のBCP策定運用指針でもさまざまな様式がダウンロードできるが、このほかの県でも、各地域の実情により適したものや、わかりやすいものを独自に策定する動きが進められている。