BCPの実効性を高める5つのポイント
-能登半島地震の16社の分析結果を解説

リスク対策PRO会員セミナー 3月28日

経済産業省中部経済産業局総務課災害対策専門官
伊野恵理氏

リスク対策PRO会員セミナーをリアル開催。経済産業省中部経済産業局総務課災害対策専門官の伊野恵理氏が、能登半島地震の被災企業16社の分析結果などを解説

被災企業から復旧のカギと備えるべき対策を学ぶ

リスク対策PRO会員セミナーは3月28日、東京・麹町の朝日ビル会議室で開催。経済産業省中部経済産業局総務課災害対策専門官の伊野恵理氏が「BCPの実効性を高める5つのポイント-能登半島地震の16 社の分析結果を解説」と題して講演し、その後、グループディスカッションを行った。

経済産業省中部経済産業局は、能登半島地震で被害を受けた製造業など16社に被災から復旧までのプロセスや組織文化についてインタビューを実施。結果を事例集として取りまとめた。伊野氏はそれらの企業の復旧・事業継続の様相と、対応のカギになったポイントを解説。「BCPの運用の効果は、常日頃からの取り組み、企業文化によるところが大きい」と話した。

また、各社からの学びをもとに、今後発生する大規模災害に向けて備えるべき事前対策を5つのステップに整理。第一ステップは従業員の安全確保で「もし死者や深刻な負傷者が発生したら復旧どころではなくなってしまう。安全確保は何が何でもやらなければいけない。安否確認の手段も確保してほしい」と呼びかけた。

第二ステップは、従業員とのコミュニケーションによる良好な関係の構築。「日頃からできるだけ情報を共有し、自律的な行動ができる人材の育成に努めることが大切」とした。第三ステップはステークホルダーとの連携で、取引先や住民、工事業者らに「『なくてはならない大事な会社』と思ってもらえるかがカギ」といい「平時からよいお付き合いができるかにかかっている」と述べた。

第四ステップは複数要員の確保で、災害時は従業員の避難生活のことも考えて日頃からの多能工化やスキルの一覧化などに取り組むことを提案。第五ステップは、自社の限界と復旧・事業継続のボトルネックを知ることと指摘した。能登半島地震では土木・建築業者の不足や2次避難による従業員の離職などがネックとなったが「自社の状況を確認しておくことで事前対策に優先順位をつけられる」と話した。

PRO会員(ライトは除く)のアーカイブ視聴はこちら。2025年5月31日まで。