【シリコンバレー時事】SNS最大手の米メタ(旧フェイスブック)は7日、外部機関が投稿の事実関係を検証する「ファクトチェック」を米国で廃止したと発表した。真偽の疑わしい投稿に利用者が注釈を付ける「コミュニティーノート」の適用を段階的に広げる。新たな仕組みには、偽情報氾濫への懸念がつきまとう。
 メタは1月、コミュニティーノートへの移行を発表。ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は、ファクトチェックについて、違反に関する判断の誤りや行き過ぎがあったと説明した。新たな仕組みは、フェイスブック、インスタグラム、スレッズの傘下SNSで展開される。
 メタの説明によると、コミュニティーノートは、誤解や混乱を招く投稿に対し、登録したユーザーが注釈を送付。意見が異なる登録者の「十分な数の同意」が得られた場合に公開される。いじめや嫌がらせなどを含む注釈は削除されるという。
 コミュニティーノートは、実業家イーロン・マスク氏が買収したX(旧ツイッター)が先行導入。スペインのファクトチェック団体「マルディタ」は、昨年6月の欧州議会選挙で偽情報が記された投稿の15%にしか注釈が付かなかったとの調査結果を公表した。
 マルディタは「コンセンサス(複数の人の合意)を真実と同一視することで、ユーザーから貴重な情報を奪っている」と指摘。SNSの普及で情報があふれる中、人々が客観的事実よりも感情や信条を優先させる対応に警鐘を鳴らした。 
〔写真説明〕米メタのロゴマーク(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)