政府は28日、人工知能(AI)を巡るリスク対応と開発促進の両立を図る新たな法案を閣議決定し、衆院に提出した。人権侵害などが生じた場合、国が事業者を調査・指導し、必要に応じて事業者名を公表できるようにする規定を盛り込んだ。今国会中の成立を目指す。
 新法案は「AI関連技術の研究開発および活用の推進に関する法案」。林芳正官房長官は28日の記者会見で、AIには生産性向上などのメリットがある一方で犯罪巧妙化などのリスクもあると指摘し、新法制定により「イノベーション促進とリスク対応を同時に進める」と強調した。
 法案は、AIが不正な目的や不適切な方法で活用されれば「犯罪への利用、個人情報の漏えい、著作権の侵害を助長する恐れがある」と指摘。国民の権利や利益が侵害された場合は国が調査し、事業者への指導・助言、悪質な事業者名の公表などの措置を講じられると定めた。
 事業者の責務として「国の施策に協力しなければならない」とも明記。ただ、技術革新を妨げないよう罰則は設けなかった。 
〔写真説明〕閣議に臨む石破茂首相(中央)ら=28日午前、首相官邸
〔写真説明〕記者会見する林芳正官房長官=28日午前、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)