【ワシントン時事】トランプ米政権は26日、国際開発局(USAID)の対外援助のうち、540億ドル(約8兆円)相当のプログラムを打ち切ることを決めたと明らかにした。見直し対象としていた対外援助の92%を削減。米国の支援を受けてきた途上国に深刻な打撃を及ぼしそうだ。
 国務省によると、複数年にまたがる対外援助プログラム6200件(約582億ドル相当)を見直し、現政権が掲げる「米国第一」の外交政策に合致しないと判断した約5800件について契約解除を決定した。
 ただ、緊急食料援助は見直しの対象外とした。また、ハイチ、ベネズエラ、レバノンなどへの支援と、エイズウイルス(HIV)やマラリアの治療対策は継続する。
 USAIDは独立した政府機関。これとは別に、国務省が手掛ける対外援助に関しては約9100件(約159億ドル相当)を見直し、約4100件(約44億ドル相当)のプログラムの打ち切りを決めた。
 国務省当局者は「米国の納税者に役立つ米国第一の対外援助という新たな焦点に合わせ、残るプログラムを前に進めていく」と強調した。議会と協力し、対外援助の在り方を刷新する方針も示した。
 トランプ大統領は1月、自身の外交政策と合致しない対外援助に支出しないと定めた大統領令に署名。国務省は援助を凍結し、90日以内に見直す方針を表明していた。途上国支援で大きな役割を果たしてきた米国の援助凍結に伴い、支援団体が活動停止に追い込まれるなど、各国で混乱が広がっている。 
〔写真説明〕米国際開発局(USAID)が修復を手掛ける施設=4日、ヨルダン川西岸(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)