【ワシントン時事】米東部時間29日午後8時50分(日本時間30日午前10時50分)ごろ、首都ワシントン近郊のロナルド・レーガン空港付近で着陸のため滑走路に進入しようとしていた旅客機が軍用ヘリコプターと空中衝突した。いずれも空港の近くを流れるポトマック川に墜落。旅客機は乗客60人と乗員4人の計64人、ヘリには兵士3人が搭乗していたが、当局者は30日、「生存者は見込めない」と述べ、全員死亡したとの見方を示した。
 地元当局は30日午前8時(日本時間同日午後10時)時点で、28人の遺体を収容したと発表した。
 米フィギュアスケート競技団体やロシア国営メディアによると、乗客には中西部カンザス州ウィチタで行われたフィギュアスケートの全米選手権を終えた選手ら十数人が含まれている。
 アメリカン航空によると、衝突したのは子会社のPSA航空が運航するウィチタ発ワシントン行きのボンバルディアCRJ700型機。一方、国防総省によると、ヘリは南部バージニア州フォートベルボア基地所属の陸軍「ブラックホーク」で、訓練飛行中だった。
 米メディアが公開した映像によると、二つの飛行物体が上空で衝突し、爆発した。管制塔の交信記録では、管制官がヘリに「CRJが視界に入っているか」と尋ねた後に衝突が起きた。
 トランプ大統領は30日にホワイトハウスで演説し、「真の悲劇だ」と語った。SNSではこれに先立ち、ヘリと空港の管制官の対応を「これは防げるはずだった。悪い状況だ。良くない!」と批判した。林芳正官房長官は日本時間30日午後の会見で「邦人の生命、身体に被害が及んでいるという情報には接していない」と述べた。 
〔写真説明〕30日、米ワシントンを流れるポトマック川で事故機の残骸を調べる当局者(AFP時事)
〔写真説明〕29日に米ワシントン上空で空中衝突事故を起こしたボンバルディアCRJ700型機の同型機=2019年11月、米ノースカロライナ州シャーロット(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)