【ワシントン時事】トランプ米政権が打ち出した融資や補助金の拠出停止が波紋を広げている。非営利団体などが猛反発し、連邦地裁に提訴する事態に発展。レビット大統領報道官は28日、社会保障関連の給付は対象外と釈明し、沈静化を図ったが、不安をあおりかねない政権の対応に懸念が出ている。
 ホワイトハウスで予算執行を担う行政管理予算局(OMB)は27日、連邦政府による支援がトランプ大統領の政策と一致しているか精査するため、各省庁に資金拠出の一時停止を指示した。
 レビット氏は記者会見で、拠出停止が「社会保障やメディケア(高齢者向け公的医療保険)、福祉関連の給付金、フードスタンプ(食料購入補助)には影響しない」と強調。政権が疑問視する多様性を尊重する政策や気候変動対策関連などへの拠出阻止が目的で、あくまでも「一時的な停止だ」と説明した。
 ただ、法制化を経ずに政権が強行した今回の措置に対し、野党民主党上院トップのシューマー院内総務は「違法で、違憲だ」と反発した。メディケイド(低所得者向け医療保険)のサイトにアクセスできないと伝えられるなど、混乱が広がることへの懸念も指摘されている。
 米非営利団体協議会などは28日、首都ワシントンの連邦地裁に提訴。米メディアによると、判事は来月3日までの拠出停止の差し止めを命じた。協議会は声明で「小児がんの治療研究から住宅・食料支援などに至る停止は一時的でも影響は壊滅的で、人命が犠牲になる」と批判した。 
〔写真説明〕レビット米大統領報道官=28日、ワシントン(EPA時事)

(ニュース提供元:時事通信社)