東京慈恵会医科大学教授の浦島充佳氏が実行委員長を務める、東京慈恵会医科大学bio-TTX実行委員会は10月14日、「第8回バイオセキュリティTTX2014机上演習『バイオテロの脅威にどう対応するか』」を開催した。

昨年末からギニアを初めとする西アフリカ諸国においてエボラ出血熱が流行し、世界保健機関(WHO)は8月8日に「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したが、これまで約4000人が西アフリカで死亡。さらに米疾病対策センター(CDC)は12日、米南部テキサス州ダラスの病院で女性看護師がエボラ出血熱に感染し、発症したことを正式に確認したと発表した。米国内でアフリカに渡航歴がなくエボラ出血熱に感染した患者は初めて。

浦島氏は、「WHOが緊急事態宣言を発したのは死者が1000人以上になってから。さらに発症者のうち、10%以上は医療従事者で、スペイン、アメリカ国内で患者から感染したのも看護師だ。WHOもCDCもエボラ出血熱に対して対策が甘い部分があったのでは」と危機感を募らせる。

バイオセキュリティTTX (Table Top Exercise=机上演習)は2006年から毎年開催し、今年で8回目。自治体、企業、研究者、NPOなどから約40人が参加して行われた。浦島氏から導入としてエボラ出血熱の最新の状況報告と「バイオ危機への対応」に関する講義が行われた後、「外国人が日本国内でエボラを発症して死亡」「死亡者はテロリストであった可能性が浮上」というシナリオが受講者に配られ、政府、自治体、企業の3つの立場からどのような対応が最適かを6つのグループに分かれ、机上演習を行った。

浦島氏は「慈恵医大は霞が関にも近く、役所や企業の担当者も集まりやすい。これからも大学の役割として、机上演習を通じてバイオセキュリティに関するネットワークを作っていきたい」と話す。

第8回 バイオセキュリティ TTX2014 机上演習『バイオテロの脅威にどう対応するか』URL: http://docrd.jp/forum_detail.php/1408928352/