【ベルリン時事】11日に開幕する国連気候変動枠組み条約第29回締約国会議(COP29)の議長国アゼルバイジャンは、ロシアと中東の間にある産油国だ。温室効果ガス排出が比較的少ない天然ガスを、脱炭素社会へつなぐ「過渡的な燃料」に位置付け、増産方針を掲げる。政治腐敗が指摘される国でもあり、「COP29をイメージ払拭に利用しようとしている」などと批判の声も上がっている。
 アゼルバイジャンは、カスピ海に眠る豊富な石油・ガスが輸出の約9割を占める。ガスの主な供給先は欧州連合(EU)諸国だ。ウクライナに侵攻したロシアへの燃料依存から脱却すべく、EUは2022年、アゼルバイジャンからの調達を27年までに倍増させることで合意した。
 一方、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは同国について、反政府活動の弾圧や言論の自由の欠如を批判。今年2月の大統領選では、選挙監視に当たった欧州安保協力機構(OSCE)が「民主的な選挙の基準に反した」と認定した。英BBC放送は今月、COP29運営責任者の政府高官が、議長国の立場を乱用し、商談に利用しようとしたと報じた。
 昨年の議長国はアラブ首長国連邦(UAE)で、産油国による議事進行が続く。国際NGOトランスペアレンシー・インターナショナルは「化石燃料業界に有利な議論を進めるのに利用される恐れがある」と警告した。 
〔写真説明〕COP29のロゴ(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)