2024/10/09
防災・危機管理ニュース
【ワシントン時事】イスラエルとイスラム組織ハマスの衝突から1年が経過し、米国ではかつて民主党を支持していたムスリム(イスラム教徒)の有権者が、イスラエル支援を続けるバイデン政権への反発を強めている。大統領選まで1カ月を切る中、激戦州ではハリス副大統領(59)への抗議のため、第3党の候補を推す動きが広がっている。
「人々は怒り、動揺している」。中西部ミシガン州の「イスラミック・センター・オブ・デトロイト」のスフィアン・ナブハン事務局長(54)は政権への憤りを訴えた。この1年間、イスラエルへの武器支援停止を求めたが、聞き入れられることはなかった。「私たちは無批判に支持することをやめ、第3党に投票する。民主党への罰だ」
接戦州のミシガンは全米有数のムスリム・アラブ系コミュニティーを抱える。人権団体「米イスラム関係評議会」が9月に公表したムスリム系住民の世論調査では、緑の党のジル・スタイン候補(74)が40%と最多の支持を集め、トランプ前大統領(78)は18%、ハリス氏は12%にとどまった。
ハリス氏はバイデン大統領よりもイスラエルに厳しい態度を示すが、ナブハン氏は「(戦争終結に向けた)行動はなく、バイデンと同じだ」と冷ややかだ。ムスリム系が人口の多数派を占める同州ハムトラムク市のアメール・ガリブ市長(44)は9月にトランプ氏を支持すると表明し、話題となった。
危機感を強めるハリス氏は今月4日、ミシガンを訪れアラブ系コミュニティーの指導者らと面会。関係者や米メディアによると、当選の暁にはホワイトハウスや司法省、国務省などの高官ポストを用意すると約束し、投票を促したという。
よりどころは「反トランプ」感情だ。トランプ氏は在任中、イスラム圏からの入国を規制。7日のハマスによるイスラエル奇襲1年の追悼演説では、「ジハード(聖戦)主義者に同調する者を国外追放する」と述べた。同氏が勝てばムスリムを取り巻く環境は悪化するとの危惧は根強く、主要ムスリム団体「エムゲージ・アクション」はハリス氏を支持している。
〔写真説明〕パレスチナ自治区ガザの犠牲者支援のため、デモに参加する親パレスチナ派の人々=8月11日、米中西部ミシガン州ディアボーン(AFP時事)
〔写真説明〕「イスラミック・センター・オブ・デトロイト」のスフィアン・ナブハン事務局長(本人提供・時事)
(ニュース提供元:時事通信社)


防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
なぜ下請法の勧告が急増しているのか?公取委が注視する金型の無料保管と下請代金の減額
2024年度は下請法の勧告件数が17件と、直近10年で最多を昨年に続き更新している。急増しているのが金型の保管に関する勧告だ。大手ポンプメーカーの荏原製作所、自動車メーカーのトヨタや日産の子会社などへの勧告が相次いだ。また、家電量販店のビックカメラは支払代金の不当な減額で、出版ではKADOKAWAが買いたたきで勧告を受けた。なぜ、下請法による勧告が増えているのか。独占禁止法と下請法に詳しい日比谷総合法律事務所の多田敏明弁護士に聞いた。
2025/03/14
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/03/11
-
-
DXを加速するには正しいブレーキが必要だ
2月1日~3月18日は「サイバーセキュリティ月間」。ここでは、企業に押し寄せているデジタルトランスフォーメーション(DX)の波から、セキュリティーのトレンドを考えます。DX 時代のセキュリティーには何が求められるのか、組織はどう対応していくべきか。マクニカ ネットワークスカンパニー バイスプレジデントの星野喬氏に聞きました。
2025/03/09
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/03/05
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方