政府は6日、サイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御」導入に向けた有識者会議(座長・佐々江賢一郎元駐米大使)の会合を首相官邸で開き、議論の中間整理をまとめた。監視対象として、個人のメール内容などを含めることは「適当ではない」と明記した。
 中間整理は、憲法が保障する「通信の秘密」との整合性を取るため、通信事業者が持つ情報活用に向けた制度設計で、丁寧な検討を求めた。政府の情報活用を監視する第三者機関の設置も提起した。
 重要インフラがサイバー攻撃を受けた場合、国民生活に多大な影響が出ると指摘。電力、ガスなど15業種の民間事業者を念頭に、政府への報告を義務付け、情報共有を進めるよう訴えた。
 監視対象として「外国が関係する通信の分析が特に必要」と盛り込んだ。
 有識者会議は今後、最終的な意見集約を急ぐ。それを踏まえ、政府は今秋にも想定される臨時国会に関連法案の提出を目指す。河野太郎デジタル相は6日の会合で「民間企業への大規模なサイバー攻撃が明らかになっている。対応能力の向上は急を要する」と強調した。 
〔写真説明〕サイバー安全保障分野での対応能力の向上に向けた有識者会議であいさつする河野太郎デジタル相=6日午後、首相官邸

(ニュース提供元:時事通信社)