京成電鉄(千葉県)向けの保険で価格調整をしていたとして、公正取引委員会が独禁法違反(不当な取引制限)で、カルテルを結んでいた損害保険大手4社に再発防止などを求める排除措置命令を出す方針を固めたことが5日、関係者への取材で分かった。うち3社は課徴金納付命令の対象とする。公取委は各社に処分案を既に通知し、意見聴取を経て最終判断する。
 4社は東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険(いずれも東京都)。公取委は7月にも、東急グループと仙台国際空港向けの共同保険で価格を調整していたとして4社に排除措置命令を出す方針を各社に通知していた。公取委はこの他、コスモ石油向けなどの保険についても調査を続けている。
 関係者によると、4社は遅くとも2019年12月以降、京成電鉄向けの、支払いリスクを分担する共同保険契約で価格調整をしていた。
 公取委は損保ジャパン以外の3社に対し、計約1億2000万円の課徴金納付を命じる方針。損保ジャパンは課徴金減免制度に基づき違反を自主申告したため、課徴金納付の処分は免れるとみられる。
 単独保険契約では、東京都が実施した公用車の自動車保険などの入札で、あいおいニッセイを除く3社が事前に話し合って受注企業や価格を決める談合を行っていた。公取委は3社に排除措置を命じ、うち損保ジャパンには計約3500万円の課徴金を納付するよう命令する方針。 
〔写真説明〕公正取引委員会=東京都千代田区

(ニュース提供元:時事通信社)