2013/04/17
防災・危機管理ニュース
トーマツ企業リスク研究所が調査
有限責任監査法人トーマツでリスクマネジメント等の調査・研究を行っているトーマツ企業リスク研究所は、企業のリスクマネジメントに関する調査(2012年版)結果を公表した。
それによると、リスクマネジメントに関する活動のうち、潜在的リスクを識別・評価する「リスク評価を実施している」と回答した企業(以下、リスク評価実施企業)の割合は4年連続80%以上となった。2010年の89.5%をピークに、2011年85.0%、2012年82.6%と微減傾向となりつつも、高水準を保っている(図表1)。さらに、1年の間のリスクマネジメント体制が「現状維持である」と回答した企業がリスク評価実施企業の80%に上ることから、多くの企業においてリスクマネジメントが定常の業務及び体制として定着していることが明らかになった。
また、リスク評価未実施企業がリスク評価を実施しない要因は、「評価方法不明」(27%)が前回(2011年版)から14%減少している一方、「予算がない」(14%)が7%増加(図表2)。テクニカルな問題は解消されつつあるが、企業業績の低迷が長引く中で、社内におけるリスク評価の優先度が下がり、予算の確保が困難な状況が生じている可能性を示した。
優先すべきリスクは、「海外拠点の運営に係るリスク」と回答した企業が28%と前回に比べ15%増加し、全体で2位、企業規模1000名以上の企業においては1位となった。また、海外関連リスクと関係する「子会社ガバナンスに係るリスク」、「海外取引に係るリスク」はそれぞれ、4%増(13.9%)の全体4位(1,000名以上企業では同率3位)、8%増(12.5%)の全体7位(1,000名以上企業では同率3位)となった。これら海外関連リスクの急増に伴い、その他のリスクは相対的に減少傾向にあるが、「地震・風水害等、災害対策の不備」は前回より5%減の32%となったものの、全体順位は前回に引き続き1位であり、そのリスク認識度は相変らず高い。
調査は2012年に開催したセミナーの出席者(主にリスク管理部門、コンプライアンス部門、内部監査部門の方)に対して実施し、144社から回答を得た。同調査は2002年から始まり、今回で11回目。
- keyword
- 海外リスク
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2025/01/07
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2025/01/05
-
-
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方