2023/06/28
独自調査
リスク対策.comは、全国の会社員を対象に、熱中症対策に関するアンケート調査を実施した。その結果、73.4%もの人がこれからの暑い時期に熱中症対策をしようと考えているにもかかわらず、これまで熱中症対策をしてこなかった人が40.7%いることがわかった。また、50代や60代など熱中症に対するリスクが高くなっても、熱中症に対する危険度の認識は他の世代とほとんど変わらないことも明らかになった。調査は、2023年6月5日から12日にかけてインターネット上で行い、20歳以上65歳以下の会社員800人からの回答を得た。回答者の男女比は男性49%、女性51%で、年齢層は20代、30代、40代、50代、60代の各年代とも20%前後だった【表】。
(本調査は、兵庫県立大学教授の木村玲欧氏と関東学院大学准教授の大友章司氏の協力を得て実施しています)
・7割以上が今後熱中症対策に取り組もうと考えているが、実際に対策をしてこなかった人は4割を超える。 |
※本文中のグラフの構成比は、小数点以下第2位を四捨五入しているため、合計しても必ずしも100とはならない
4割近くが熱中症にかかったり、危険を感じた
これまでに熱中症の症状を経験したことがあるかとの質問に対しては、「熱中症にはかかったことがない」との回答が62.1%と最も多かったものの、「緊急搬送や医療機関で診断を受けたことがある」(6.5%)や「医療機関で診断を受けていないが熱中症にかかったことがある」(10.9%)との回答も少なくなかった。「危険を感じたことがある」(20.5%)を加えると、全体の4割近くが熱中症を経験したり、危険だと感じる状態を経験していることがわかった【グラフ1】。
これからの暑い季節に熱中症対策をしようと思うかとの質問については、「とてもそう思う」が36.1%、「ややそう思う」が37.3%で、計73.4%が何らかの対策を行おうと考えている【グラフ2】。
一方で、「これまでの暑い時期に、どの程度対策をしてきたか」との質問については、「いつもしてきた」が14.9%、「少しはしてきた」が44.4%で、対策をしてきた人は全体の6割未満となった【グラフ3】。本調査の監修にあたった関東学院大学准教授の大友章司氏は「ダイエットしようと思っても行動できないなど、動機と行動の乖離の現象として考えられる。人は、やりたいという動機を持っていても面倒だとか、それまでの習慣が障害となって行動に結びつけることができない。実際に行動している人を見ると、熱中症を経験している人などであり、熱中症が自分にも起こるリスクとして捉えることが重要である」とコメントしている。
「過去にどのような熱中症の症状を経験したか」との質問の回答とクロス分析をすると、過去に熱中症を経験したり、危険だと思う経験をしている人の方が、熱中症を経験していない人に比べて対策をしている傾向も浮かび上がった【グラフ4】。
熱中症になる危険性の認識
50代、60代もほぼ変わらず
「自分自身が熱中症になる危険性をどの程度感じているか」との質問については、「強く感じている」が8.8%、「ある程度感じていない」が44.1%で5割強が危険性を感じていると回答した【グラフ5】。ただし、年代別では特に顕著な差が見られなかった【グラフ6】。
本調査の監修にあたった兵庫県立大学教授の木村玲欧氏は「約半数の人が熱中症の危険性を感じているが、年代別に見ると、20代も60代も熱中症に関しては同じぐらいの危機意識しかもっていない。50代、60代と高齢になるにしたがって、熱中症の危険性が増すことを考えると、年代の高い層に対する熱中症の危険性の周知と、熱中症対策の推進が重要だと考えられる」と話している。
独自調査の他の記事
おすすめ記事
-
なぜ製品・サービスの根幹に関わる不正が相次ぐのか?
企業不正が後を絶たない。特に自動車業界が目立つ。燃費や排ガス検査に関連する不正は、2016年以降だけでも三菱自動車とスズキ、SUBARU、日産、マツダで発覚。2023年のダイハツに続き、今年の6月からのトヨタ、マツダ、ホンダ、スズキの認証不正が明らかになった。なぜ、企業は不正を犯すのか。経営学が専門の立命館大学准教授の中原翔氏に聞いた。
2024/11/20
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/11/19
-
ランサム攻撃訓練の高度化でBCPを磨き上げる
大手生命保険会社の明治安田生命保険は、全社的サイバー訓練を強化・定期実施しています。ランサムウェア攻撃で引き起こされるシチュエーションを想定して課題を洗い出し、継続的な改善を行ってセキュリティー対策とBCPをブラッシュアップ。システムとネットワークが止まっても重要業務を継続できる態勢と仕組みの構築を目指します。
2024/11/17
-
-
セキュリティーを労働安全のごとく組織に根付かせる
エネルギープラント建設の日揮グループは、サイバーセキュリティーを組織文化に根付かせようと取り組んでいます。持ち株会社の日揮ホールディングスがITの運用ルールやセキュリティー活動を統括し、グループ全体にガバナンスを効かせる体制。守るべき情報と共有すべき情報が重なる建設業の特性を念頭に置き、人の意識に焦点をあてた対策を推し進めます。
2024/11/08
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/11/05
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方