組織の生産性を上げるエンタープライズ・リスクコミュニケーション
最近、役員による不適任な言動やSNS炎上などの企業不祥事が、組織のレピュテーション(評判)や経営に大きな影響をもたらしている。
広報やマーケティングを取り巻く環境は目まぐるしく変化している。特に近年は、SNSの利用者増加やステークホルダーの接触メディアの変化に伴い、コミュニケーションの手法はより複雑化している。
コミュニケーション戦略における効果的な予防対策には、広い領域に関する深い知識が必要になる。今回の記事では、ますます多様化、専門化する時代にコミュニケーション戦略における、レピュテーションコントロールのポイントについて考察していく。
急激な時代の変化に合わせたコミュニケーション戦略設計
今年4月「パワハラ防止関連法」が施行され、 6月には内部通報体制の整備が義務化される。企業経営において、レピュテーションコントロールの重要性が高まりを見せる中、広報やマーケティング部門に託される役割はますます重く、多くなっている。
リスク管理、危機管理広報はもとより非財務情報の拡充、内外のマルチステークホルダーとのコミュニケーションにまで及び、昨今はソーシャルメディアや社会課題であるSDGsへの配慮も求められる。
コミュニケーション戦略におけるリスク管理について
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自社にも被害が及ぶリスク |
自社が被害の要因になるリスク |
自社には直接関係ない社会的リスク |
リスクの例 |
震災で生産設備が被災して自社製品の生産量が大幅に落ち込む |
製品への異物混入により中毒患者が発生しているおそれがある |
被災地でニーズの高い自社製品の優先出荷の必要性を検討する |
取り組み |
BCP,BCM |
レピュテーションコントロール |
CSR,SDGs/ESG |
情報開示におけるスタンス |
如何にして早く事業を再開させるか |
如何にして早く情報開示して拡大を防止するか |
如何にして営利を一時的に除外して社会に貢献するか |
例えばこの図のように、自社も被害者になるリスクと、自社が被害の要因になるリスクでは取り組みや情報開示におけるスタンスが異なる。このように、経営層・管理職がカバーすべきコミュニケーション領域はかつてないほど多様化し、広報やマーケティング部門が果たすべき役割も増えている。コミュニケーション能力の巧拙が企業力を左右するようになったといえる。
レピュテーションコントロールに必要な4つのプロセス
リスクが顕在化した時、準備と対応次第でレピュテーションを向上できる場合がある。そのためには社会に必要とされる企業としてのスタンスを、多様なステークホルダーに的確に発信することが必要だ。レピュテーションコントロールを適切に行うためには、危機が発生してからの対応を、①危機の検知(混乱期)②被害拡大の防止(拡大期)③説明/謝罪(整理期)④監査と監視(収束期)の4つのプロセスに分けて対応することが望ましい。
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