2018/03/19
防災・危機管理ニュース
世界161カ国の国家標準化団体でつくる国際標準化機構(本部スイス・ジュネーブ、通称:ISO)は、同機関初となる労働安全衛生のマネジメントシステム「ISO 45001」を12日に発行した。これを受けて国内でも同等の新JIS規格を制定する動きが進んでおり、現在、日本規格協会(JSA)が原案を作成中。日本工業標準調査会(JISC)の審議を経て、8月ごろに厚生労働大臣による制定を目指す。
「ISO 45001」は、労働安全衛生マネジメントシステムに関する国際規格。同機構が発行する品質マネジメントシステム「ISO 9001」や環境マネジメントシステム「ISO 14001」などすでに取得している企業にとっては、他のISO規格と一体的なシステムを構築できるメリットがある。
一方、労働環境は国によって多様性があることから、「ISO 45001」では具体的な実施事項具については組織の自主的な裁量に任せている。日本では労働安全衛生面で、厚生労働省の法律、省令、規則、指針、通達などが整備されており、指針や通達では、推奨される具体的な実施事項が記載されている。このため「ISO 45001」に準拠しながら、日本国内の労働安全衛生管理体制と調和させる新JIS規格の制定を計画している。現時点では「ISO 45001」と同等のJIS規格「JIS Q 45001」を7月に、新JIS規格(名称未定)を8月ごろにそれぞれ制定を予定している。
新JIS原案は現在JSAが主体となり策定中。JSAの公式サイトでは12日から「ISO 45001」の原本(英文)を購入可能。また新JIS規格案の作成にあたり、「ISO 45001」の特設ページをつくり原案の具体的内容について紹介しているほか、1~30日までサイト内でパブリックコメントを募集している。
■ISOのニュースリリースはこちら(英文)
https://www.iso.org/news/ref2272.html
■日本規格協会公式サイトのISO 45001特設ページはこちら
https://www.jsa.or.jp/iso45001sp
(了)
リスク対策.com:峰田 慎二
防災・危機管理ニュースの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方