グループのスケールメリットを生かしワンストップの物流サービスを提供

危機管理やBCPは不測の事態から組織と人を守るもの、かつCSRやESGと同様、社会貢献を目指すものでもある。ステークホルダーに自社の姿勢を示すものといってもいい。取り組みを社会からの支持獲得につなげていくのも一つのゴールだ。30社超の事業会社から成る物流サービスのSBSグループは、持株会社のSBSホールディングス(東京都墨田区、鎌田正彦社長)を中心に、重点的に取り組むべき経営リスクとその対策をCSR視点でコントロール。特色の違う企業の集団が一丸となってリスクマネジメントを推進し、業界全体の信頼向上に向かっていけるよう舵(かじ)取りする。

SBSホールディングス
東京都墨田区

事例のPoint
❶ 特色の違う企業群が一体感をもってリスク管理
・重点リスクと活動項目をあらかじめ設定。課題と対策を体系的に整理することで、グループで取り組むことと各社で取り組むことを明確に

❷ CSRに紐づけてステークホルダーを意識
・会社と社員を守るという目的をCSRにリンクさせる。実際、情報セキュリティーでは「顧客に迷惑をかけた」経験が従業員の意識を変えた

❸ 若者の確保に向け業界全体の信頼向上を目指す
・「 重大事故」「人事・労務(コンプライアンス)」「情報セキュリティー」のリスク対策は、物流業界の信頼向上に必須。若者に「入りたい業界」と思ってもらうことが願い


グループとして特に重点的に取り組むリスクが大きく分けて3つ。「重大事故」「人事・労務(コンプライアンス)」「情報セキュリティー」だ。

持株会社のSBSホールディングスを中心に、国内外30社超の事業会社で構成する企業集団。主軸の物流事業は生産から消費、廃棄までの全領域をカバーし、事業拠点は655、保有車両はトラック約5000台、従業員数は約2万人に及ぶ。経営の脅威となるリスクは数知れない。

「事業会社が個々にリスクを洗い出し、それを集約して管理するのが従来の手法。ただ、取扱品目や運送条件が各社で違うなか、全方位的に洗い出しを行うのは負荷が大きい」と、SBSホールディングスCSR推進部の佐川弘樹次長は説明する。