2014/01/25
誌面情報 vol41
協定データベースの構築など
自治体でも協定の締結や管理の方法について、見直しの動きが始まっている。ポイントは災害時に協定に基づく対応がいかに機能するか──。
静岡県と新潟県における取り組みを取材した。
南海トラフ巨大地震への対策を進めている静岡県では、自治体・民間事業者を合わせて338件の災害時応援協定を締結している。このうち民間事業者との協定は308件を占める。これらの協定がいつでも確実に履行できるよう、県では、年1回は協定先事業者の担当者や連絡先を確認することにしている。しかし、実際に協定を管理しているのは所管課で、具体的な協定の内容や更新情報はこれまで県全体では共有ができていなかった。危機管理部がすべての協定を把握しているわけではなく「中には関係が疎遠化して、協定内容がアップデートできていないものもあるかもしれない」と危機政策課調整班の渡邉裕之氏は懸念する。
そこで、県では昨年度から、協定の内容をすべてデータベース化することを決定。これまでに3割ほどの入力を終えた。データベース化により「古い協定書類を引っ張り出して、内容を確認するような作業は大幅に改善される。これまでアップデートできていなかった協定についても見直すきっかけになる」と渡邉氏は語る。
協定の締結状況が全庁的に共有されるようになれば、ある課が締結している協定内容を、別の課の協定の段取りに生かすなどの活用もできる。データは、県のイントラネット上で管理しているため、災害時にも、即座に連絡先を調べられるなどのメリットもある。
国も現在、災害時応援協定等のデータベース構築に取り組んでいるが、同課調整班班長の櫻井克俊氏は「国内自治体が、他の自治体、または民間事業者等と締結している協定状況がデータベース化されれば、有事だけでなく平時における協定の管理においても利便性が向上する」と期待する。
誌面情報 vol41の他の記事
- 特集1 災害協定を見直せ
- 平時から役立つBCPを構築
- 自治体の協定 実効性の確保を重視
- 特措法の施行でこう変わった! 最新 新型インフルエンザ対策
- FOCUS マンションライフ継続支援協会MALCA
おすすめ記事
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/17
-
-
-
-
-
リスク対策.PROライト会員用ダウンロードページ
リスク対策.PROライト会員はこちらのページから最新号をダウンロードできます。
2024/12/05
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方