知らず知らずのうちに選択肢を狭めていないか
第5回:レジリエンスの真髄<自己効力感>を磨く
BCP策定/気候リスク管理アドバイザー、 文筆家
昆 正和
昆 正和
企業のBCP策定/気候リスク対応と対策に関するアドバイス、講演・執筆活動に従事。日本リスクコミュニケーション協会理事。著書に『今のままでは命と会社を守れない! あなたが作る等身大のBCP 』(日刊工業新聞社)、『リーダーのためのレジリエンス11の鉄則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『山のリスクセンスを磨く本 遭難の最大の原因はアナタ自身 (ヤマケイ新書)』(山と渓谷社)など全14冊。趣味は登山と読書。・[筆者のnote] https://note.com/b76rmxiicg/・[連絡先] https://ssl.form-mailer.jp/fms/a74afc5f726983 (フォームメーラー)
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■問題なのは「逃げ場」を失うとき
「現状や未来は自分の手で変えられる」と考える人は、いわゆる「自己効力感」を持っている人です。自己効力感を身につけるにはいくつかの方法が考えられますが、よく引き合いに出されるのは次の2つです。
一つは「自ら選択肢や可能性を狭めない」こと、もう一つは「自分または他人を観察して"やればできる感"をつかむ」こと。まずは前者について考えてみましょう。
パニック映画などで人々が逃げ場を失い「もうだめだ!」と叫んだそのとき、沈着冷静な主人公が一言、「いや、諦めるのはまだ早い。助かる可能性はある」と言い放つ。見ている私たちもほっと胸をなでおろし、カッコいいなあ…と思ったりします。
こうした前向きな姿勢というのは、映画の主人公だけの特権ではありません。いま私たちはコロナウイルス・パンデミックの最中にあり「この先どうなるのだろう」「もう元の生活に戻れないのでは」といった出口の見えない不安を抱えています。
しかし考えて見れば、人類は過去にいくつもの戦争や大規模自然災害、大恐慌、そして伝染病など、現代人の私たちには想像もつかないような過酷な時代を生き延び、その都度力強く立ち直ってきました。確かに今のコロナ禍は私たちの生活や経済に計り知れないダメージを与えていますが、けっして人間の力で乗り越えられない相手ではありません。
出口の見えない不安や逆境に苦しむということは「逃げ場」を失うということです。そこから抜け出すためには、何らかの選択の道をつくらなければならなりません。
しかし、目の前にはその選択肢がなく、お手上げの状態だと感じる。こんなとき"選択肢を持つ"ために背中を押してくれるのが「自己効力感」です。
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