第21回:防災活動の次に考えること その3
BCP策定の流れ②
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
2020/06/10
中小企業の防災 これだけはやっておこう
本田 茂樹
現在の三井住友海上火災保険株式会社に入社、その後、出向先であるMS&ADインターリスク総研株式会社での勤務を経て、現職。企業や組織を対象として、リスクマネジメントおよび危機管理に関するコンサルティング、執筆活動を続ける一方で、全国での講演活動も行っている。これまで、早稲田大学、東京医科歯科大学大学院などで教鞭をとるとともに、日本経済団体連合会・社会基盤強化委員会企画部会委員を務めてきた。
前々回はそもそもBCPとは何か、そしてその重要性について説明し、前回は実際にBCPを策定するに当たっての流れを確認しました。今回もその続きとなります。
前回は、BCPを策定する際の流れ(図1)の中から「(1)BCPの方針・体制」「(2)被害想定を確認する」、そして「(3)事業インパクト分析」を説明しました。今回は、それに続く手順「(4)中核事業の把握」と「(5)重要業務の把握」について確認しましょう。
地震などの大災害が起こった際には、従業員、建物・設備、そしてライフラインなどの経営資源の多くが、欠けたり、なくなったりします。被災時に残された経営資源が限られるとすれば、被災前、つまり平常時に行っていた事業を全て継続することはできません。そこで、その残された経営資源を使って、どの事業から復旧させるべきかという観点で優先順位をつけることが必要です。
「(3)事業インパクト分析」において、自社の事業が中断した際の影響がどのようなもので、またその影響の大きさはどの程度か確認しましたので、その結果を踏まえて、どの事業を優先的に復旧させるべきか決めていきます。
ただ、中小企業には比べるまでもなく、売上の大部分を一つの事業が担っている、また特定の取引先に依存している企業も多いと思います。その場合は、これらの自社の屋台骨となる事業を中核事業と考えてよいでしょう。中核事業の決定は、限定された経営資源の効率的な配分がポイントですので、まさに経営者が自ら行うべきことです。
中小企業の防災 これだけはやっておこうの他の記事
おすすめ記事
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/17
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方