新型コロナウイルスの感染拡大により、大規模イベントどころか、小規模なセミナーや日常的な会議までもが自粛されてきているが、3月からは企業の株主総会が始まる。企業はどう対応すればいいのか、丸の内総合法律事務所の中野明安弁護士に特別寄稿いただいた。

 

2月20日、大規模集会の開催の判断基準となるかと期待されていた加藤厚生労働大臣の政府コメントが出されました。

「例えば屋内などで、お互いの距離が十分にとれない状況で一定時間いることが、感染のリスクを高めるとされています。イベント等の主催者においては、感染拡大の防止という観点から、感染の広がり、会場の状況などを踏まえ、開催の必要性を改めて検討していただくようお願いします。なお、イベントなどの開催については、現時点で政府として一律の自粛要請を行うものではありません。また、開催にあたっては、感染機会を減らすための工夫を講じていただきたい。例えば、参加者への手洗いの推奨やアルコール消毒薬の設置、風邪のような症状のある方には参加をしないよう依頼をすることなど、感染拡大の防止に向けた対策の準備をしていただきたい。国民の皆様においては、風邪のような症状がある場合は、学校や仕事を休み、外出を控えるとともに、手洗いや咳エチケットの徹底など、感染拡大防止につながる行動にご協力をお願いいたします。特に高齢の方や基礎疾患をお持ちの方については、人込みの多いところはできれば避けていただくなど、感染予防に御注意いただくよう、お願いいたします。そのためには、学校や企業、社会全体における理解に加え、生徒や従業員の方々が休みやすい環境整備が大切であり、テレワークや時差出勤も有効な手段であります。関係者の皆様のご協力をお願いいたします」

続いて26日には、安倍首相が感染の拡大防止に向け、今後「2週間」の大規模イベントの中止や延期を要請し、企業の間でもセミナーや会議を自粛する動きが加速しました。

株主総会の運営で注意すべき点


さて、企業の皆さんの喫緊の課題は株主総会です。国内でこのまま3月以降も感染状況が継続しそうですので、この「2週間」以降も、不要不急の外出、集会の自粛などが続くことが予想されますが、一方で多くの企業では、株主総会が、今後、3月から6月にかけて開催が予定されています。そこで、株主総会は開催せざるを得ない(業務継続)との前提で、その運営について感染防止対策(安全配慮)はどのように実施されるかを検討することが求められることになります。そこで、2009年の新型インフルエンザ対策時の株主総会の状況を参考にして、以下のような総会運営を検討されるべきことを提案します(なお、丸の内総合法律事務所としての提案ではなく個人的な提案です)。

もちろん、各企業では今後の状況の変化に備えていただきたく、全部あるいはいくつかを組み合わせて、またここに掲げた方法以外の方法なども実施するなどして、積極的に対応をしていただきたいと思います。