風は防災・減災でも重要ポイント。普段から感じていることが大切

風は、防災・減災の観点からも重要です。

1923年9月1日午前11時58分に発生した関東大震災は、午前10時の段階での風速10mの南風でした。

地震発生当初から、やや強い南風が吹いていたので、まず北側にむかって延焼しました。その後、17時台から北風にかわり、22時には風速21mの強い風が観測されています。この際、南側にも延焼が広がり、風によって、火事の被害が拡大したと分析されています。

詳しくは、こちらをご参照ください。

■防災基礎講座「災害はどこでどのように起きているか」
(独立行政法人 防災科学技術研究所 自然災害情報室)
http://dil.bosai.go.jp/workshop/02kouza_jirei/s17fire/jishinkasai.htm

火山の噴火の際も風は重要な情報になります。火山灰は風向きによって広がる方向が変わります。

出典:軽井沢市ホームページ「浅間山火山防災マップ」
http://www.town.karuizawa.lg.jp/www/contents/1001000001001/simple/map2.pdf

軽井沢で講演した際、一緒に講義をした防災課の方が「毎日、浅間山をながめて、煙の流れを観察してほしい」と語られていたのが印象的でした。火山付近に暮らす人の毎日の生活の知恵ですね。

そのほかにも、風は原発事故が起こった時に放射性物質が拡散する方向と、避難すべき方向を知るためにも重要になります。

普段から風を全く意識していないと、災害時に風に思いが至らないのではないでしょうか?

都会でも、湾岸部は風がほかの場所より強いですし、ビル風もどんな風向きの時にどのように吹くか、いつも感じていると避難の際にも役立ちます。

雨雲が迫ってきた時のヒヤっとする風の気配。肌で感じていますか?

海にでかけたら、夕凪と朝凪で風がぴたりと止まる瞬間を感じてほしいです。

野山にでかけたら、草の一部だけが、はためいて揺れる場面を見ることができます。そこは風の通り道。なぜ風がその場所を特に好んでやってきたのかがわかると、風と仲良くなれます。

9月中旬から11月までのこの季節、風を利用したタカの渡りを見ることができます。ご覧になったことありますか?

上昇気流がある場所を利用して、何度も旋回したあと直線で滑空する様は、グライダーと同じ原理です。南へと暖かい地方へ移動していきます。

タカ柱と言って、タカが何羽も旋回する様を見ると、ここは風の谷なのだなと感じます。

タカの渡り情報はこちらで
「タカの渡り全国ネットワーク」
http://www.gix.or.jp/~norik/hawknet/hawknet0.html

災害時にしか、風を意識しないなんてもったいなさすぎます。

日常で、風を感じ、効率よく防風をしながら、風が語ってくれる情報に耳を傾けてもらえたらと思います♪

(了)