縦と横の連携で推進

グループ全体のEHSの推進体制は、 CSR経営担当役員が防災EHS管理統括者となり、その直下に各事業会社、機能会社、子会社が組織化されている。

推進事務局は、BS(SCREENビジネスサポートソリューションズ)の環境安全健康部が担い、全体の計画のとりまとめや進捗管理などを行う。1人の担当者がEHS すべての知識を身に付けることは難しいため、環境安全健康部の中でも「環境」「労働安全」「防災BCM」担当と役割を分担し、さらに子会社のジュランが各拠点に駐在し、EHS推進活動にあたっている。BS環境安全健康部11人に加え、ジュランの担当者37人の総勢48人体制で全社のEHSサポートにあたる。

ただし、いくら現場にEHS担当を配属したからといっても「縦のラインだけではEHSをグループ全体で一体的に推進していくことは難しい」と西原氏は語る。そこで、横串として、「防災EHS委員会」を設け、その下にグループ全社の実務担当者でつくる分科会を配置して技術的課題などをサポートしている。縦のライン管理と足並みがそろうよう、防災EHS委員会のトップは、防災EHS管理統括者であるCSR経営担当役員が兼務し、副委員長も副防災EHS管理統括者であるCTOと総務・人事の担当役員が兼ねる。委員は、ラインとグループ会社から選出された防災EHS管理責任者(各社の役員)で構成する。

 

写真を拡大 イントラネット上のプラットフォームに各種計画や実施報告書を掲載

このため、年間計画も各社単位のものと、委員会活動に基づく分科会単位のものの両方を策定している。四半期に1回、防災EHS管理統括者であるCSR経営担当役員の出席のもと管理責任者を集めた情報共有会議を開くとともに、イントラネット上のプラットフォームに各種計画や実施報告書を掲載し、それぞれの進捗などを管理している。

平時と紐づいた有事対応

一方、環境事故や、労働事故、巨大災害などが発生した際には、この推進体制と紐づいた対応がただちにとられるようになっている。

例えば、環境事故や労働事故など工場や事業所で起きた事故に関しては、各社の管理責任者をトップに、該当事案に関係する防災EHSメンバーが中心に対応にあたる。基本的にはよほど大きな事故でない限りは、各社に対応を委ね、グループ全体での対応は行わない(広報などはホールディングスで対応)。

一方、大規模災害時には、現場だけでの対応が困難なことが想定されるため、まず現地(拠点)で対策本部が立ち上がり、同時に本社(ホールディングス)でも対策本部が立ち上がる。現場は事業所長がトップとなり、自衛消防と連携を取りながら、消火活動など自衛防災、被害状況の確認、安否確認、救援・救護、二次
災害防止、生活復旧支援などの対応を進める。

本社は防災EHS管理統括者が対策本部長のもと、人事、施設・設備、広報、IT、資金、緊急物資、ビジネス担当がメンバーとなり、現地への人的・物的の支援にあたる。EHS推進事務局であるBS環境安全健康部は対策本部事務局として全体調整にあたる。

また、現地対策本部とは別に、被災した当該事業所を持つグループ会社でも復旧対策本部を立ち上げ、主要事業を継続するためのBCPに基づいて、優先順位の検討、代替生産の検討、生産の再開、復旧などの支援を行う。複数のグループ会社が被災するなどの広域災害の場合は、BCPに関しても本部が全体調整にあたることにしている。