従業員のSNS書き込みで大損害
第9回 従業員のSNS利用に関するリスクへの対応(内部リスク)
株式会社フォーサイツコンサルティング/
執行役員
五十嵐 雅祥
五十嵐 雅祥
(一財)レジリエンス協会幹事。1968年生まれ。外資系投資銀行、保険会社勤務を経て投資ファンド運営会社に参画。国内中堅中小製造業に特化した投資ファンドでのファンドマネジャーとしてM&A業務を手掛ける。2009年より現職。「企業価値を高めるためのリスクマネジメント」のアプローチでコンプライアンス、BCP、内部統制、安全労働衛生、事故防止等のコンサルティングに従事。企業研修をはじめ全国中小企業団体中央会、商工会議所、中小企業大学校等での講師歴多数。
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□事例:有名人の宿泊情報を書き込んだ個人特定
女子大生のAさんは、東京都内にあるXホテルの飲食店でアルバイトをしています。Xホテルは都内でも最高級レベルのホテルであり、宿泊客のみならず、飲食店にも著名人といわれる人たちが数多く来店します。
Aさんがアルバイトをしていたある日、その飲食店に有名な男性スポーツ選手と女性芸能人がカップルで来店したことがありました。そこでAさんは自身のツイッターに「男性(実名)と女性(実名)がご来店。」と投稿したのです。さらに「今夜は2人で泊まるらしいよ。 お、これは……(どきどき笑)」などの投稿を行ったことからツイッター上で話題となり、瞬く間に拡散されていきました。同時に投稿を見た人の中から「アルバイトとはいえ、訪れた著名人の情報を暴露するのは問題ではないか?」との批判も起こり、ほどなくネット上では投稿したAさんの本人特定が始まりました。Aさんはツイッターを匿名アカウントで使用していましたが、投稿からおよそ5時間後には、Aさんの本名、顔写真、大学、学部、入学年度、学籍番号、出身高校、アルバイト先の店舗名などが特定され、ネット上に出回ることになりました。
Xホテルにも投稿の内容を指摘する電話が入り、ネットでの騒ぎを知ることとなりました。Aさんに事情を聴いたところ、本人が投稿を認めたため、ホテルとして即座に当該カップルに謝罪を行いました。さらに、ホテルのホームページにも総支配人名義で謝罪文を掲載する事態となったのです。
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