2012/03/25
事例から学ぶ
岩手県内だけで 6000 人以上の死者・行方不明者を出した東日本大震災。地震発生と同時に岩手県庁内に は災害対策本部が自動的に立ち上がった。県内全域の停電、通信網の途絶、市町村の被災 ・・・、未曾有の被 害をいかに乗り越えたのか。同県における災害対策本部の対応を取材した。
一般的に、自治体の災害対策本部は、知事、各部 局の長、国、自衛隊といった関係機関が、災害対応 方針を確認し災害状況を共有するための災害対策本 部会議(1日に1∼2回開催)と、実際の災害対応 にあたる災害対策本部支援室から構成される。
岩手県もこの仕組みは同じだ。ただ、岩手県には、災害時の様子や被災状況が大画面で映し出されるよ うな最新のオペレーションルームはない。庁舎4階にある災害対策支援室は3つの部屋を連結した大部 屋で、部屋の中には、あらかじめ決められた班体制 にもとづきテーブルとホワイトボード、電話だけが 配置されている。
災害対策本部支援室の基本となるレイアウトを示 したのが図1−1。 左上から対策班、 情報班、 広報班、 総務班、右上に統括班、その下に総合調整所、さら に一番右側に自衛隊、警察、医療機関、消防が位置する。これは、災害対策本部の組織(図 2-1、-2)が最も効率的に動けるように配置された ものだ。
災害対策本部支援室は災害対応における参謀的な 役割を持つ。各班の具体的な役割としては、統括班 は対策本部支援室の指揮・統括にあたり、本部長の 意思決定を支え、その決定方針に基づき各班に対す る指示などを行う。対策班は、関係機関との連絡調 整を主な任務とする。自衛隊や広域消防援助隊などへの派遣・応援要請などだ。情報班は国や他県、市 町村関係機関などからの情報収集、整理、集約にあ たる。逆に情報を提供したり、記録・整理を行うの も情報班の役割となる。通信班は、レイアウト上は 示されていないが通信配線や通信機器の確保などを 行う。広報班は被災状況や活動内容の公表、マスコミとの連絡調整などを行う。そして総務班は、本部 職員のローテーション管理・支援や、現地派遣職員 の支援など、いわゆるロジスティックを受け持つ。
このほか、災害対策本部支援室には配置されてい ないが、 各部局が災害対策本部からの指示を受けて、 それぞれ所管事務について対応をする。
事例から学ぶの他の記事
おすすめ記事
-
リスク対策.com編集長が斬る!今週のニュース解説
毎週火曜日(平日のみ)朝9時~、リスク対策.com編集長 中澤幸介と兵庫県立大学教授 木村玲欧氏(心理学・危機管理学)が今週注目のニュースを短く、わかりやすく解説します。
2024/12/24
-
-
-
能登の二重被災が語る日本の災害脆弱性
2024 年、能登半島は二つの大きな災害に見舞われました。この多重被災から見えてくる脆弱性は、国全体の問題が能登という地域で集約的に顕在化したもの。能登の姿は明日の日本の姿にほかなりません。近い将来必ず起きる大規模災害への教訓として、能登で何が起きたのかを、金沢大学准教授の青木賢人氏に聞きました。
2024/12/22
-
製品供給は継続もたった1つの部品が再開を左右危機に備えたリソースの見直し
2022年3月、素材メーカーのADEKAの福島・相馬工場が震度6強の福島県沖地震で製品の生産が停止した。2009年からBCMに取り組んできた同工場にとって、東日本大震災以来の被害。復旧までの期間を左右したのは、たった1つの部品だ。BCPによる備えで製品の供給は滞りなく続けられたが、新たな課題も明らかになった。
2024/12/20
-
企業には社会的不正を発生させる素地がある
2024年も残すところわずか10日。産業界に最大の衝撃を与えたのはトヨタの認証不正だろう。グループ会社のダイハツや日野自動車での不正発覚に続き、後を追うかたちとなった。明治大学商学部専任講師の會澤綾子氏によれば企業不正には3つの特徴があり、その一つである社会的不正が注目されているという。會澤氏に、なぜ企業不正は止まないのかを聞いた。
2024/12/20
-
-
-
-
※スパム投稿防止のためコメントは編集部の承認制となっておりますが、いただいたコメントは原則、すべて掲載いたします。
※個人情報は入力しないようご注意ください。
» パスワードをお忘れの方