2011/07/25
事例から学ぶ
宮城県石巻市にある医療法人社団健育会の石巻港湾病院は、津波により建物1階の天井までが浸水するなど、甚大な被害を受けながらも、入院患者のケアなどの医療業務を途絶えることなく行った。それを可能にしたのは、災害に対するスタッフの迅速な対応と、健育会グループ全体の経営をサポートする株式会社ヘルスケアシステムズ(東京千代田区)との連携体制による支援だ。
石巻港湾病院は、全国に複数の拠点を持つ医療法人社団健育会(以下、健育会)が運営する病院の1つ。内科・リハビリテーション科など、4つの診療科からなる高齢者を対象にした中小規模の病院(5階建て、延べ床面積3784㎡、計135 床)。地震発生時には、入院133 名、外来8名の計141 人の患者が院内にいた。一方、今回の震災対応で大きな役割を果たした株式会社ヘルスケアシステムズは、健育会グループ全体の経営をサポートし、各病院の経理や人事、危機管理についても、実質的に同社がすべての管理を請け負っている。震災直後、同社は、東京千代田区の本社内に災害対策本部を立ち上げた。被災したグループ病院における震災対応の情報を一元化し、物資の確保や運搬、患者・職員の関係者からの問い合わせに対応するための電話窓口を設置するなど継続的な支援ができる体制を整えた。石巻港湾病院に加え、福島県いわき市の病院も被災したが、特に石巻は津波により壊滅的な被害を受け、通常の医療業務が続けられるような状況ではなかった。
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