あずさ監査法人、KPMG調べ

有限責任 あずさ監査法人KPMGビジネスアドバイザリー株式会社は、この度、企国内企業を対象とした事業継続マネジメント(Business Continuity Management 以下、BCM)の対応状況について、第6回目となるサーベイを実施した。

その結果、BCP策定済み企業の割合は、2006年時(15%)から大幅に増加していることが分かった。今回調査では、BCPを「策定済み」と回答した企業は、全体で、前回調査の64%から77%に増加。また、売上高100億円未満の中小企業においてBCPを「策定済み」と回答した企業が、前回調査の30%から51%と、大幅に増加した。

■東日本大震災による広範な企業への影響

「2010年4月以降に事業が予期せず中断したことがあるか」との質問で、「中断したことがある」と回答した企業を対象にした質問では、事業中断を経験した企業のうち、地震被害を原因とした中断が91%に上り、事業中断を経験している企業の51%が、事業中断から復旧するまで1週間以上の月日を要したことが分かった。

また、事業中断による損失額が5億円以上と回答した企業は23%と、前回調査の4%から大幅に増加した。

■災害備蓄および従業員の残留・帰宅・出社支援策強化の動き

東日本大震災の経験を通じて発見された課題、および見直しを行った内容としては、過半数以上の企業が、「緊急時の対応体制・役割(体制・役割分担が不明等)」、「安否確認」、「従業員の残留・帰宅・出社支援」、「災害備蓄品(飲食料、毛布、笛、軍手等)」と回答した。食糧を備蓄していない企業の割合は45%から21%に減少。両社では、「震災後、非常用食糧の備蓄を新たに開始した企業が増加したと考えられる」と分析している。食糧の備蓄について、7食以上の備蓄を行っていると回答した企業の割合は19%から29%に増加しており、これまで備蓄していた企業であっても、備蓄量を増加させている傾向にあるという。

 ■BCMの実効性を向上させるための対策は今後の課題

過去に実施したことのあるBCPの訓練については、多くの企業が安否確認や緊急対策本部の立ち上げ訓練を実施したと回答した。事業中断等を想定した場合の「代替手順を用いた業務実施訓練」や「バックアップシステムへの切替訓練」等、実地的な訓練を実施している企業の回答割合はそれぞれ13%、20%と非常に少ない。BCMの実効性を向上させるための訓練実施については、今後の課題と考えられる。

両社は、BCMに関わる動向や課題を明らかにし、各企業においてより効果的かつ効率的なBCMを整備、運用するための情報を提供することを目的に、2002年より隔年で「事業継続マネジメントサーベイ」を実施している。

【調査概要】
調査対象              4,897社(国内の上場企業および売上高500億円以上の未上場企業の総務部門長)
調査方法              郵送による質問票送付形式
有効回答総数       383社
有効回答率           7.8%
調査期間              2012年7月20日~2012年8月31日
経年比較              2006年以降にKPMGが実施した「事業継続マネジメント(BCM)サーベイ」との比較