【ワシントン時事】トランプ米大統領は4日の議会演説で、ウクライナのゼレンスキー大統領から米国の支援に謝意を示す書簡を受け取ったと公表し、2月末の首脳会談決裂で悪化した関係の修復に前向きな姿勢を示した。また、領土拡大への野心を再びのぞかせ、「米国第一」の外交を推進する姿勢を鮮明にした。
 トランプ氏によると、ゼレンスキー氏は書簡で「大統領の強力なリーダーシップの下、和平実現に取り組む準備がある」と伝達。ウクライナの鉱物資源の権益を巡る合意文書に関し「いつでも署名する用意がある」と表明したという。
 2月末にホワイトハウスで開かれた首脳会談では、米政権の対ロシア融和姿勢を巡り、トランプ氏とゼレンスキー氏が激しい口論を交わし、合意文書署名が見送られた。トランプ氏は対ウクライナ軍事支援の一時停止に踏み切り、ゼレンスキー氏に態度を改めるよう圧力を強めていた。
 ゼレンスキー氏は書簡で、「永続的な平和に近づくため、早期に交渉のテーブルに着く用意がある」とも指摘し、ロシアとの停戦交渉に応じる方針を示したという。トランプ氏は演説で、ロシア側からも「和平の準備があるという強いシグナルを受け取った」と述べた。
 トランプ氏はこのほか、議会選を控えるデンマーク領グリーンランドに触れ、「自らの将来を決める権利を強く支持する。望むなら、米国に歓迎する」と強調。一方で、「いずれにせよ、われわれは手に入れる」と語った。パナマ運河についても「取り戻す」と述べ、領有への意欲を再び表明した。
 また、バイデン前政権が2021年8月にアフガニスタンから米軍撤収を強行した際に発生し、米兵13人が死亡したカブール空港での爆弾テロを巡り、「首謀者を拘束した」と発表。米メディアによると、過激派組織「イスラム国」(IS)幹部の1人で、5日にも米国に移送される。 
〔写真説明〕トランプ米大統領(写真右)とウクライナのゼレンスキー大統領(AFP時事)

(ニュース提供元:時事通信社)