甘い想定では生き残れない
スーパー豪雨にどう備える?!
企業・自治体の対策
“異常”という言葉しか見当たらない。
「7月の台風では最強レベル」と言われた台風8号の襲来に続き、8月には京都府福知山市や兵庫県丹波市で記録的な集中豪雨が発生。
その直後に、今度 は広島市を継続的な豪雨が襲い、大規模な土砂災害により70人以上が犠牲になった。
そして、東京でもつい先日、1時間あたりの雨量が100㎜を超える猛烈 な豪雨が降った。
少し前まで、突発的で局地的な豪雨は「ゲリラ豪雨」と呼ばれていたが、近年はその概念を超えた“スーパー豪雨”ともいうべき現象が各地で 相次いでいる。
興味深いデータがある。気象庁が今年6月に発表した「気候変動監視レポート2013」によると、日本の降水量は長期的には大きく変動していないものの、1日の降水量が100㎜以上、あるいは200㎜以上という大雨の年間日数は年々、増加している。
さらに、地域気象観測所(アメダス)がとらえた日降水量400㎜以上の年間観測回数も大幅に増加している。
今年のデータを加えればさらに顕著な傾向になることは間違いない。
異常なのは日本だけではない。
2011年と2013年には立て続けにタイで大洪水が発生。昨年11月にフィリピンを襲った台風は、最大瞬間風速が 100mを超え観測史上最大の規模となった。
地球温暖化により海水の温度が上昇すれば、こうしたスーパー台風の発生確率はさらに高まるとの研究結果もある。
米国でもまた、2012年10月に巨大ハリケーン・サンディが東海岸に上陸し、ニューヨーク州やニュージャージー州に甚大な被害をもたらした。
一方で、米国では、ハリケーン対策プログラムに基づく対応が大きな減災効果を上げたと報告されている。
州政府が中心となり、災害が想定される数日前 から、発生、その後の対応まで、さまざまな機関が災害時に何をするか時間を追って整理した「タイムライン」を導入して対応にあたり、多くの被害を未然に食 い止めた。
日本の企業、自治体の対策はどうすればいいのか?前線の影響などにより複雑に気象状況が変わる日本でタイムラインは有効なのか?
企業・自治体で行われている対策と、日本版タイムライン構築への課題をまとめた。
-
特別寄稿2 リスクアセスメントの偏重
2015年10月25日(日)、常総市を訪れた。まず、鬼怒川氾濫による大規模水害により被災された方々に心よりお見舞い申し上げたい。1カ月半が経過したが、三坂町、若宮戸地区など氾濫流で家屋が甚大な被害をうけた地域以外は浸水域約40㎢におよぶ水害が起こったとは思えないまでに復旧されていた。
2016/08/28
-
特別寄稿1 検証:鬼怒川の大決壊
2015年10月20日の「朝日新聞」朝刊に掲載された2つの記事から始めたい。 1つの見出しは、「皇后さま今日81歳」である。記事の中で皇后さまは水害で被災した茨城県常総市を見舞ったことについて「『水流により大きく土地をえぐられた川沿いの地区の状況』に驚いたといい、『道々目にした土砂で埋まった田畑、とりわけ実りの後に水漬いた稲穂は傷まく農家の人々の落胆はいかばかりかと察します』と思いやった」。
2016/08/28
-
風速80mの台風が日本を襲う!
フィリピンを襲った台風30号、通称スーパー台風「ハイエン(Haiyan)」。米軍合同台風警報センターは風速87m、最大瞬間風速105mを記録したと発表し、「観測史上最強の台風」と称された。フィリピン政府の公式発表によると、2014年1月までの集計で死者6201人、負傷者2万8626人、行方不明者1785人、被災者数は1600万人以上、家屋倒壊・被害114万棟以上、被害総額は366億ペソ(約854億円)以上に達した。
2016/08/28
-
「地下」への雨水流入を遮断 東京地下鉄株式会社
営業路線は全線合わせて195.1km、駅数は179駅、1日の利用者数は673万人にのぼる東京地下鉄株式会社(東京メトロ)。一般的に「地下は水害に弱い」と思われがちだが、実際はどのような水害対策を施しているのか。水害における地下鉄の本当の課題は何なのか。東京メトロを取材した。
2016/05/20
-
洪水の脅威を知る企業の対策 株式会社コロナ
2004年7月に新潟県や福島県を襲った集中豪雨、通称「7.13水害」で被災した経験をもとに、その後の相次ぐ災害に対応してきた暖房・空調・住宅設備機器メーカーのコロナ。本誌リスク対策.comでは過去に一度、同社の当時の対応を特集で伝えたが、洪水被害の脅威を振り返る上で、同社の事例は外すことができない。現在の対策はどうなっているのか。再び、同社を訪れた。
2016/05/20
-
大丸有地区のビルを守る 三菱地所株式会社
4000事業所、23万人が働く世界でも屈指のビジネス街である大丸有地区(大手町、丸の内、有楽町)。100棟強のビルが建ち並び、そのうち約30棟が三菱地所の所有する物件だ。都内でも豪雨の被害は深刻化している。地区の防災をリードする三菱地所に、ビルの水害対策について話を聞いた。
2016/05/20
-
「身の丈」洪水対策チェック項目
大規模な洪水対策ができない中小企業はどうすればいいのか?2013年3月に東京商工会議所北支部が公表した「小規模企業のための身の丈BCP<水害対策版>」ガイドブックでは、水災が引き起こす諸問題として、10㎝~20㎝の床下浸水でも床に置いたパソコンやサーバーが故障しデータが取り出せなくなることや、仕入先が水災すると仕入ができなくなること、機械設備の電気系統が水をかぶると修理に半月から1カ月程度かかること、水害発生時には経営者がいないケースもあること、などを想定してBCPを策定すべきだとしている。
2016/05/20
-
被災教訓を生かし豪雨対策 三条市/見附市/新潟県
2004年7月13日、新潟県中越地域を大規模な集中豪雨が襲い、五十嵐川や刈谷田川など6河川で11カ所が破堤、洪水や崖崩れが多数発生する記録的な災害が発生した。通称「7.13水害」と呼ばれるもので、新潟県内だけで死者15人、建物全壊70棟、半壊5700棟、その他床上・床下浸水が8000棟以上に及んだ。
2016/05/20
-
時系列の対応検証 奈良県橿原市
2012年に米国東部を襲ったハリケーン・サンディの対策で注目を集めたタイムライン(事前防災行動計画)を導入し、豪雨に備えている自治体がある。奈良県中央に位置し、日本最古の都城、藤原宮跡など歴史的遺産が点在する橿原市だ。豪雨の危険性が高まると、時系列に沿って事前の対策をとり、被害情報を収集・共有しながら各部局間で連携し対応に当たる。
2016/05/20
-
国交省が作成した大規模水災害に関するタイムラインの流れ
「リスク対策.com」VOL.45 2014年9月掲載記事写真を拡大。
2016/05/20
-
間近に迫る「首都水没」の可能性
スイスの再保険会社「スイス・リー」は「自然災害で最も危険な都市ランキング」を発表。世界616都市を対象にした調査で被災者数を分析した結果、「東京・横浜」は第1位となってしまった。災害カテゴリー別に見ても「津波」で1位、「暴風雨」で2位、「高潮」で3位、「洪水」で6位と、世界で最も自然災害の影響を受けやすい都市の1つと言える。
2016/05/13
-
ハリケーン・サンディに学ぶ教訓
ニューヨーク州はタイムラインの発動によってハリケーンの被害を最小限に食い止めたと言われる。一方で、タイムラインの遂行には民間企業との早期の連携も欠かせ ないことも浮き彫りなった。ハリケーン・サンディから日本はどのような教訓を得ることができるのか。
2016/05/13
-
これがタイムラインの真のメリットだ!
国土交通省は、大規模水害が国内外で増えているとして、国の機関と流域自治体の防災行動を、台風などが上陸前から時間ごとに定めた「タイムライン」を導入すると発表した。まず国が直接管理する109水系で作成する。タイムラインとは一体どのようなものか。米国で生まれたタイムラインを日本で活用するためには、どのような問題点があるのか。
2016/05/13
-
企業の水害対策事例
地震への対策に比べ、洪水など水害に対する対策は遅れている。受電施設や非常用発電機は浸水すれば当然、機能を失う。高所に場所を移す、止水板、防水扉、防水壁を設けるなどのハード対策に加え、できれば本社に参集できなくなった事態も考え、代替となる対策本部や、代替生産拠点なども考慮しておきたい。
2016/05/13
-
水浸しの機械を復旧
茨城県常総市の鬼怒川決壊や宮城県大崎市の渋井川の決壊の被害によって、水と泥により汚染された産業機械や生産設備を救った企業がある。被災した機械や精密機器の復旧を専門とするベルフォアジャパン株式会社だ。
2016/05/13
-
困難を乗り越えた企業の証言
鬼怒川が決壊した常総市の多くの企業が苦境に立たされている。決壊現場近くの本石下地区にある大型スーパー「アピタ石下店」は12月6日に閉店することを発表した。市商工会の会員1700社のうち、浸水した鬼怒川東側に立地するのは約1000社にのぼる。
2016/04/28
-
避難指示のあり方だけが問題か?
避難指示のあり方など、市長をはじめとする常総市への批判が集中しているが、その時、その判断のあり方だけを取り上げて論じると本質を見誤ってしまう。これまでに経験したことがないこと、考えてもいないことが突然起きれば、誰もがパニックに陥り、正しい判断を下すことはできない。
2016/04/28
-
水害はこれからも必ず起こる
常総市などを襲った台風18号による鬼怒川のはん濫。降雨量600mm以上という記録的な大雨に原因を求めるのはたやすいが、しかし鬼怒川はその文字が示すように古来から「鬼が怒るように」暴れる川であり、今回の事態は十分に「予測できた事態」であったといえる。
2016/04/28
-
国交省が統合災害情報システムDiMAPS公開
地震、津波、風水害、噴火など災害時に国土交通省が集めた情報を地図上に集約して表示する統合災害情報システム(DiMAPS)の運用が9月1日から始まった。鬼怒川や渋井川の決壊を引き起こした9月の関東・東北豪雨の際にもDiMAPSで集約した情報がウブ上で一般公開された。
2016/04/28