なんでこうなってしまったんだろう・・(※画像はイメージです Photo AC)

関西で大きな被害をもたらした台風21号、そのすぐ後に北海道で震度7の地震。みなさまの大切な方に被害はありませんでしたでしょうか?今後は避難所生活や電気や水道の復旧などに話題がうつっていきます。

でも、台風でも地震でも命を落とされた方がいたことを忘れてはいけないですよね。ご冥福をお祈りすると同時に、私たちは次々と襲いかかる自然の猛威に本当に対応できているのか、もっとできることはあったのではないか、自分の問題として考えていたのか問い続ける必要があります。

2017年12月19日、政府の地震調査委員会は、北海道東部の十勝沖から択捉島沖の千島海溝で、マグニチュード(M)9級の超巨大地震が今後30年以内に7~40%の確率で起きるとの予測を公表しています。北海道では大きな地震が起こるかもしれない・・と、知っている人は知っていましたので、警戒していた人もいるかもしれません。でも、この胆振東部地域の内陸部の地震で震度7がすぐ起こる可能性については警戒されている人は少なかったのではないでしょうか?

今回の地震では、タンスの下敷きになって亡くなった方もいらっしゃいました。札幌、千歳、函館で防災の講演をしましたが、家具の転倒防止をされている方が少ないと感じていました。

過去に大きな地震が少ない場所であっても、今はどこでも大地震が起こりうる、そう思うしかないことをあらためて問いかけたのが今回の地震といえるでしょう。

今回の記事は、これだけ立て続けに災害が起こる前に入稿していたので、少し、軽い内容かなと思って、来週に延期しようかなとも悩みました。でも、もし、これだけ各地で災害が起こっているのに、まだ自分の地域は、災害はこないとか思い込んでいる地域があればいけないと思い、やっぱり今週公開することにします。軽すぎるとか、怒らないで読んでいただければ嬉しいです。

(こちらから本編です)~~~~~~~~~

災害時、行政職員の方が責められてしまうのは、辛いなあと常々おもっています。自らも被災しているのに、通常業務に加えて災害時の業務もこなさなければならないなんて大変だと私は思うので。

また、避難勧告が遅れてしまったり早すぎたりすることも、自然を相手にしているので、ないわけでないと思っています。行政だけに頼らず、各自や地域でもっと早めに避難を決断できるようなればと思っています。

でも、と思うことがあります。

被災する前であれば、できる事はたくさんあります。せめて安全神話を流布することだけはやめてほしいのです。各地で講演すると、災害が少ないことをPRするのにお金を使ってしまうなど、実際の災害対策に手を回した方がもっといいのにと思う残念な事例も目にします。

こちらは西日本豪雨の前からずっと公開されている岡山県の防災アニメ動画です。


きび男子~備えて安心、防災に取り組もう~ (出典:Youtube)

出演されている声優さんが「進撃の巨人」の主人公役だったりと、豪華声優さんを起用されていることで話題になってます。

でもね。内容が残念すぎるんです。

豪雨被害の前から岡山では講演していたので、様々な場所でこの内容は早く変えて欲しいとお願いしていました。でも、あえて記事にまでしなかったのは、大きな災害が起こる前に削除したり、変えてくれたらいいのにと思っていたからです。そして、被災直後も、記事にしませんでした。被災して手いっぱいな時に、非難されても大変だと思っていたので。

いま、あえて記事にするのは、岡山だけの問題というのではなく、みなさんの地域の問題として、考えていただければと思っているからです。作成された方には申し訳ありませんが、題材として検討させてください。どこかの時点で冷静に、事前の災害対策はこれでよかったのか、検討することが今後につながると思いますので。

この「きび男子」シリーズは、岡山県のPR動画で、第2弾は、海外留学編で短期留学制度について紹介されています。PR動画の記念すべき第1弾が防災ということで、私はとても期待して見始めました。

ストーリーは公式サイトによるとこちら。

岡山県の晴之国学園に転校してきたもも。 彼女には誰にも言えない秘密があった。 生徒会長の犬飼、お調子者の猿彦、クールな神鳥、謎が多い英語教師のアレク先生。 晴之国学園での『きび男子』との出会いが、彼女を大人へと成長させていく。 『きび男子』は見るだけで、岡山の県政がわかるオリジナルアニメです。第一弾のテーマは防災。日ごろからいざという時のために備えましょう。 

■岡山の県政がわかるオリジナルアニメ『きび男子』特設サイト
http://www.pref.okayama.jp/chiji/kocho/kenseipr/


アニメを見るだけで県政がわかり、日頃からいざという時に備えられるなんて素敵です。

で、晴之国学園に転校してきたももさんが学校にいると、なぜか王子様風(?)の衣装の生徒会長の犬飼さんに出会います。衣装は派手ですが、犬飼さん、防災に詳しい生徒会長らしく、ハザードマップの点検をしていて、こんなセリフを言います。

「岡山って台風や地震とか災害は少ないけど、いざという時のために避難ルートを確認しているんだ」と。

この「災害は少ないけど」という言葉は、災害対策に力を入れなくなるという油断を生んできた言葉でもあります。また、どこでも災害が起こる昨今、被災したあと皮肉にしか聞こえなくなるから、危なっかしいキーワードだと私は思っています。だから犬飼さん、それ、言わないほうがいいのにと思って見続けました。

次の画面では、犬飼さんがハザードマップを広げます。「災害はいつ起きてもおかしくないから、ハザードマップとか日頃から情報を集めておかないとね」。そうそう!このセリフは同意すると思ったのですが、ハザードマップのシーンは一瞬なのです。

紹介されているのは、岡山市のハザードマップなのですが、セリフでもイラストでもその説明はないのです。市内の洪水浸水区域には、2〜5mの地域が結構ある事がわかりますが、一瞬うつるだけでマップとして見ることはできません。県全体のものではないからスルーしたのでしょうか?でも、すごくもったいない。防災動画なのに。有名声優さんの声でハザードマップについて説明して欲しかったと思いつつ、場面はすぐ次のシーンへ。